ビジネス

2016.11.26

メルカリついに殿堂入り!「日本の起業家ランキング」3年連続トップの秘密

山田進太郎|メルカリ(Photo by Jan Buus)

「日本の起業家ランキング」を開始した2014年から、メルカリは独走の三連覇を達成した。日本唯一のユニコーン企業といわれるメルカリの勝因は緻密な計画と社会への洞察にあった。

1位emoji、2位ポケモンGO、3位メルカリ。2016年7月、アメリカのiPhone向け無料アプリのダウンロードランキングで、メルカリはポケモンGOに迫る快挙を遂げた。日米合計5,500万ダウンロード、1日50万品以上の出品数を誇り、全米ではテレビCMがスタート。手数料の有料化にも踏み切る。

確実に人々の生活に大きな変化を与えているメルカリの成長の秘密とは何か。


ー夏にアメリカで急激に伸びた理由は?

買いたくなるものが揃っていることが大事なので、出品してくれるユーザーさんを増やすため、出品をいかに簡単にできるか、地道な改善を続けてきました。素地ができたところで、山火事のように一気に広がり、原因を「招待爆発」と言っています。

これはインスタグラム、Twitter、スナップチャットなどでインフルエンサーと呼ばれる人々が、「私の招待コードを使って」と、招待コード(※会員登録時に招待コードを入力するとお互いに2ドル分のポイントが得られる)を広めたのです。インフルエンサーが、コスメやファッションが安く買えると気づいたのがきっかけです。

ーユーザーの消費行動は想像以上では? 気に入らないと捨ててしまう使いかけの化粧品などが売買されている。

テレビでも紹介されたのですが、トイレットペーパーの芯や牛乳パックがまとめ売りされていて、夏休みの工作用にと買われていました。メルカリのミッションは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」なので、本当に新たな価値をつくったなと印象深かったです。

ー人の消費行動を変えた実感は?

それはどうでしょうか。お店で新品を買う時に、飽きたらメルカリで売ることを前提に買う方がいたり、履き古した靴でも、出品してみると、需要があったりとは聞きますが……。

ー日本の小売りは低迷しており、既存の流通を破壊したのでは?

その感覚はありません。人口減少による変動が出ているのかもしれませんが、ユニクロなど新品を売る店もリユースを扱うリアル店舗も、伸びているところは伸びています。例えばUberや格安航空機(LCC)は既存の産業と競合しているというより、氷山の水面下の部分の需要を掘り起こしているのだと思います。それは新しい需要であり、需要自体が増えていると思っています。
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文=藤吉雅春

この記事は 「Forbes JAPAN No.30 2017年1月号(2016/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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