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Under30フランチャイズ、テクノロジー、企業家を担当。

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ジャレッド・クシュナー(左)とイヴァンカ・トランプ(右、Photo by Spencer Platt/Getty Images)


トランプに勝利をもたらした決断は、スプリングフィールドの選挙集会を終え帰路についていたプライベートジェット、通称「トランプ・フォース・ワン」の中で始まった。

トランプとクシュナーはマクドナルドのフィレオフィッシュバーガーを食べながら、選対チームがソーシャルメディアを活用しきれていない現状について話していた。するとトランプは彼に、フェイスブック対策チームを率いてくれないかと持ち掛けたのだという。

トランプはツイッターへの頻繁な投稿で知られているが、実は大のテクノロジー嫌いだ。ニュースは新聞やテレビでチェックし、電子メールを送りたい時は手書きのメモをアシスタントがスキャンして送信するという話もある。

クシュナーはトランプと同じ不動産業界の人物だが、2006年にニューヨーク・オブザーバー誌を買収したり、不動産取引仲介サイト「Cadre」の立ち上げに関わったりと、メディアやEコマースにも手を広げており、必要な分野の人脈を持っていた。Cadreの共同出資者にはピーター・ティールやアリババ創業者のジャック・マーがおり、弟のジョシュ・クシュナーは医療保険分野のユニコーン企業「オスカー・ヘルス」を共同設立したやり手のベンチャーキャピタル投資家だ。

「世界でも指折りのデジタルマーケターであるシリコンバレーの友人らに電話して、彼らが使っている下請け企業を紹介してもらった」

そうした企業の一つに依頼し、手始めとして関連グッズの販促にマイクロターゲティングを用いたところ、絶大な効果を発揮。帽子などの商品の1日の売上は8,000ドルから8万ドルに増加した。また、トランプがカメラに向かって政策を説明する簡素な動画シリーズの宣伝に16万ドルを投じると、累計再生回数は7,400万回に達した。

トランプが共和党の候補指名を確実にしていた6月までには、クシュナーはデータ分析に基づく選挙運動を一任されるようになっていた。注力したのは、最低限の投資から最大限の成果を生むこと。

「『マネーボール』と同じことをやった。選挙人獲得のための投資収益率が最も高いのはどの州か考えた。最小限のコストでこの消費者の元にトランプのメッセージを届けるのにはどうすればいいか、と」。連邦選挙委員会に提出された書類によると、10月中旬までにトランプ陣営が選挙戦に投じた額は、クリントンのおよそ半分だった。

データで選挙運動を徹底的に効率化

政治経験のなさも強みになった。通常の選挙運動についての知識がなかった彼は、シリコンバレーの新興企業が肥大した他産業を次々と乗っ取っていったのと同じやり方で、政界に切り込んだ。

テレビやネットでの広告は減らす。その代わりにツイッターやフェイスブックを選挙戦の主要ツールとし、メッセージの浸透と潜在的な支持者の発掘、膨大な量のデータ収集や、有権者感情の変化をリアルタイムで察知するために活用した。

「変更や失敗を恐れなかった。ある方法を安く早く試してみて、うまくいかなかったらすぐやめた。意思決定を素早く、駄目なところを直し、良かったところを強化した」

完全にゼロからのスタートアップではなかった。共和党全国委員会のデータシステムやケンブリッジ・アナリティカなどのターゲティングサービスを利用して、有権者の分布をマッピングし、トランプが掲げる政策のどれが一番重要なのかを特定。さらにディープ・ルートなどのツールを用い、特定の地域・有権者層に人気がある番組を狙い撃ちすることで、テレビ広告費を大幅に削減した。

翻訳・編集=遠藤宗生

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