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Under30フランチャイズ、テクノロジー、企業家を担当。

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ジャレッド・クシュナー(左)とイヴァンカ・トランプ(右、Photo by Spencer Platt/Getty Images)


また、グーグルの元CEOで、クリントン陣営のテクノロジーシステム設計を支援したエリック・シュミットは「ジャレッド・クシュナーは今年の選挙で最大のサプライズだ。私が言える限りでは、彼は選挙運動を実際に動かしていた人物だった。それも基本的には財源ゼロの状態で」と語っている。

財源がゼロだったのは、恐らく最初だけだろう。ただ、常に資金が乏しかったことは間違いない。だがクシュナーは、トランプ陣営のデータ収集・分析活動を秘密裏に、そしてシリコンバレーのスタートアップ企業のように運営し、激戦州の戦況をひっくり返した。

彼が取った手法は、今後の選挙戦の在り方を変えるだろう。オバマは2008年の選挙で、特定の有権者層に向けた選挙運動や支持者の動員などにおいて前例のない成功を収めた。だがそれから8年、社会は大きな変貌を遂げた。中でもソーシャルメディアの存在は特に大きい。

クリントンの選挙運動は従来型メディアに大きく頼っていた。だが一方のトランプ陣営は、訴求対象に合わせたメッセージの発信、感情操作、そして機械学習を活用していた。従来型の選挙運動は、ネット社会の発展によって終わりを迎えた。その終焉に、ドナルド・トランプ以外で最も大きく関わっていたのが、クシュナーだった。

支持者の声に触発され「開眼」

イヴァンカ・トランプの目立たない夫から、ドナルド・トランプ陣営の救世主となるまでの道のりは、ゆっくりとしたものだった。選挙戦が始まった当初は税金・貿易政策に関する調査を手伝っていたが、次第に周りからトランプとの連絡役を頼まれるようになった。

「自分無しではありえなかっただろう人脈作りを仲介した」。クシュナーはこう語る。「ワシントンでは、トランプに協力すれば共和党での仕事は一切できなくなるという話が出回っていた。ある有能な税政策専門家を雇った時には、トランプの下で働いていることは口外厳禁、報酬は2倍という条件をのんだ」

トランプ陣営が勢いを増すにつれ、クシュナーの役割も拡大していった。そして彼が選挙戦に全力投球する決意を固めたきっかけは、昨年11月、トランプがイリノイ州スプリングフィールドで開いた選挙集会に参加したことだった。「人々は、彼のメッセージに真の希望を見出していた。ニューヨークのメディア業界人の多くが理解できないことを求めていた」

当時のトランプ陣営は、実力者不在の状態だった。彼が選挙集会で「啓示」を受ける数週間前、トランプ・タワーの選挙対策室を訪れたフォーブス取材班が目にしたのは、人員も、机も、パソコンもない部屋だった。

そこにいたのは選対本部長のコーリー・ルワンドウスキと広報担当のホープ・ヒックスのみ。彼らの戦略は、トランプが発する話題性のあるコメントを中心に据えつつ、通常の選挙運動としての体裁を保つために選挙集会を週1~2回開くというもので、最低限の支出でいかに結果を引き出すかという超小規模なスタートアップ企業ばりの運営方式だった。

それを本物の選挙運動へと昇華させたのが、クシュナーだった。彼はすぐに、演説対策や政策策定、スケジュール管理や財務を取りまとめるチームを組織した。「ドナルドはいつも、『選挙運動で金儲けする輩はだめだ。ビジネスと同じく、使う金は1ドル単位で管理したい』と言っていた」

翻訳・編集=遠藤宗生

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