【対談】ハーバード流「挑戦し続ける力」

猪俣武範氏(左)と木ノ内 輝氏(右)


木ノ内:ベンチャーというと、どうしても西海岸のイメージが強い。ハーバードは、やっぱりスタンフォードほど投資に積極的ではなかったりします。

猪俣:確かにそういうイメージが強いですが、実は徐々に変わり始めています。特にバイオ系のメディカルテックなどは注目を集めていて、シリコンバレーのヘルスケア版みたいなムーブメントができつつあります。

木ノ内:ハーバードは世界で一番バイオ系にお金を出している研究機関ですよね。MITの存在も大きい。でも医療の世界は得に、ビジネスとは同調しないという考え方が強いのでは?

猪俣:そうですね、ビジネスとのコラボレーションにおいてはまだまだ後進です。「医は仁術」と言われる通り、今までは医療の分野はお金儲けがタブーでした。ただ、ハーバードのビジネススクールでは最近、ヘルスケアのリサーチラボを設けて投資をするということを始めています。

木ノ内:研究者も大学にいるとお金儲けが悪みたいな空気がありますが、それはすごく間違っていると思うんです。お金を稼いで利益を上げるというのは社会に貢献していることですから。

猪俣:これからは、お金を稼いで、研究に再投資するという良循環を起こしていく時代だと思います。私がハーバードで研究をしながらビジネススクールに通うという選択をしたのも、医者や研究者などのスペシャリストにもリーダーシップやマネジメント能力が必ず必要になると考えていたからなんです。俯瞰して事業を見る目が、医師にも求められると思います。日本では、まだまだ変わり者扱いされてしまいますが。

木ノ内:それは私も同じです(笑)。

猪俣:まあ、そこは気にしないです。人からの評価は移り変わりますから。


猪俣武範◎医師、医学博士、MBA。ハーバード大学眼科に留学中にボストン大学エグゼクティブMBAにてMBA取得。角膜移植免疫、ドライアイ、血管新生、IoMTを研究。臨床、研究、教育への貢献をミッションに、医療経営にも貢献中。著書に「ハーバード×MBA×医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法」(ディスカヴァー21)など。

木ノ内 輝◎Tokyo New Cinema代表取締役。ハーバード大学研究室在籍中にプロデューサーを務めた「Calling」がボストン国際映画祭にて最優秀撮影賞を受賞。帰国後、製作総指揮を務めた「愛の小さな歴史」「走れ、絶望に追いつかれない速さで」が2年連続で東京国際映画祭入選を飾る。配給作品、浅野忠信主演「壊れた心」が2017年1月に公開予定。医学・芸術を含む多彩なバックグランドからの起業と展開によりHUFFPOSTにて「映画界のテスラ」と期待される。

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写真=岩沢蘭

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