「究極の自撮りドローン」を生んだ中国・深セン企業、Xiroの野望

Courtesy of Xiro

カリフォルニア育ちの中国系アメリカ人として、筆者はガジェット系記事の執筆を行なっている。世界的に有名なアプリやソフトウェアがカリフォルニアから生まれている一方で、ハードウェア製品の多くは中国の深センで製造されている。

現在、香港で暮らす筆者にとって中国の深センは、電車で一時間ほどの距離にある。西側の多くの人々は未だに中国がコピー製品の生産拠点だと考えているが、それはもはや時代遅れの認識で、率直に言えば無知だ。

英国版Wiredの2016年4月号の表紙には「IT’S TIME TO COPY CHINA(中国をコピーすべき時代が来た)」との文字が踊り、中央にはシャオミ創業者のレイ・ジュンの写真が掲げられていた。中国のテック企業らは今や時代の最先端を走っている。

Wiredやフィナンシャルタイムズは深センのことを、「ハードウェア製造のシリコンバレー」と形容した。アップルも間もなく深センにR&Dセンターを開設する。今回、筆者はDJIに次いで中国第二位のドローンメーカー、Xiroの深センオフィスを取材した。

Xiroのオフィスは、南山区に建つ未来的外観のビルディング「深センハイテクパーク」にある。そこには中国を代表するテック企業らが入居し、XiroのオフィスがあるCESタワーはレノボやZTE、テンセントらの事務所を見下ろしている。

スマホで操作する室内専用ドローン

Xiroの初号機のクアッドコプター・ドローン「Xplorer」(383ドル)はインダストリアルな外観や、強風に耐え120メートルの高度を飛行可能な性能でドローンマニアからも高い評価を得た。その後、一般ユーザー向けにリリースされた小型で安価な製品が「Xplorer Mini」で、筆者はこのモデルをテストさせてもらった。

プロ向けモデルのXplorerが専用リモコンで操作する仕様だったのに対し、Miniはスマホで操作するのが特徴だ。Xiroでクリエイティブ・ディレクターを務めるZheng Jianhongの助けで、数秒ほどでセッティングを終えるとオフィス内で筆者はMiniを飛ばしていた。

ZhengによるとMiniには室内で安全に飛行するためのインドアポジションシステムが搭載されているという。「機体から超音波ソナーを発射し、床からの距離を測定して位置を保っている」

しかし、一体なぜドローンを室内で飛ばす必要があるのか。Xiroはこのモデルを飲み会などの場で、自撮り写真を撮影する用途で開発したのだという。実際に彼らはMiniを「究極の自撮りドローン」として売り込んでいる。

「カメラは13メガピクセルで、F値は2.8。動画撮影の場合、秒間30フレームで1080pのビデオが撮影できる」とZhengはスペックを挙げて説明してくれたが、手短に言うとパーティーなどの一時を撮影するにはもってこいの画質と機動性だ。このドローンがあれば自撮り棒なんか意味が無くなる。

自撮りがあまり好みでない筆者としては、スケートボードやバイクに乗っている際の活用を検討したい。クアルコムのチップを内蔵したXiroは、人物認識機能も備えており、ロックオンした標的を自動追尾で撮影することも可能だ。

ZhengによるとXiroは今後、様々な製品を発表していくという。非常にパワフルで高スペックなプロ向けドローンの「Maveric」は1,000ドルで年内の発売が予定されている。

編集=上田裕資

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