実際、イギリスに限って見ても、消費者がお気に入りのハイストリート(繁華街の大通りにある)ブランドのオンラインショップで“買わなかった”分の金額は49億ポンド(約6,713億円)にものぼる。
オンライン小売革命の次なるパラダイムシフトは、配送のオプションによってもたらされる可能性が高い。配送を制する者がトップに君臨できると、スチュアートUKのゼネラル・マネージャー、デービッド・サエンズは言う。「顧客の買い物体験の最終段階、つまり配送の利便性に対処する必要性が高まっていることが、調査結果から浮き彫りになった」
サエンズはこうも指摘した。「今では、商品の検索も購入もワンクリックでできる。小売業者は、これまで以上に要求が高くなっている消費者が、配送についても同じ期待を抱いていることを理解しており、その期待を満たす方法を模索している」
また調査では、購入時と同様に返品時も迅速な配送を行うことの重要性が示された。消費者の3分の1近くは、一部の商品を返品するつもりで一度に複数の商品を購入している。イギリスでは、オンラインで購入後に返品された商品は毎年およそ590億ポンド(約8兆円)相当となっている。
さらに、購入したものの使わずに家のどこかで眠っている商品は32億ポンド(約4,384億円)相当。調査によれば、消費者が返品の手続きを始めるまでには平均4.2日かかっており、多くの小売業者にとってはこれが大きな問題となる。在庫品はどんどん価値が下がっていってしまうからだ。
現代の消費者の心をつかみ、気をひくためには、フレキシブルで迅速な配送オプションが必須だとサエンズは説明する。
「にもかかわらず、利便性の高い配達や返品サービスは“必要”ではなく“あるといい”程度に考えられていることがあまりに多い」と彼は続ける。
サエンズは、どのオンライン小売店にとっても、配送オプションが勝敗を分ける決め手になると確信している。配送サービスが、消費者の購入決定を後押しする最大の要因の1つであることが多いからだ。
「オンラインで買い物をする人々は、ブランドに対する忠誠心を持つかどうかにおいて、配送サービスを要に考えている。5年後には、即時配送・返品のサービスが主流になっているだろう」
さらにサエンズはこう指摘する。「今この分野に投資を行う小売業者は、消費者のロイヤリティ獲得競争に勝利するだけでなく、それに伴う金銭的見返りも手にすることができるだろう」
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