復刻版ファミコンが大ヒットの任天堂 さらなる「遺産」復活の期待

Nintendo Classic Mini (Credit: Nintendo)

任天堂が発売した復刻版ファミコン「NES Classic Edition」が、予想を超える大ヒットとなった。これは人気タイトル30本が内蔵された小型の据え置きゲーム機で、価格は60ドルとホリデーシーズンの買い物には絶好の商品だ。しかし、ほとんどの店舗で既に完売しており、ネット上では数百ドルから数千ドルで転売されるなど人気が過熱している。

NES Classic Editionの大成功から、今後の任天堂のホリデーシーズン戦略を占うことができる。筆者は、任天堂が来年、小型SNES(アメリカ版スーパーファミコン)を発売する可能性が高いと見ている。そして再来年には小型N64を、その次はミニ・ゲームキューブを投入するだろう。任天堂がカードの切り方を間違えなければ、今後数年間はホリデーシーズンにヒット商品を生み出し続けることができる。

ミニNESがこれほどヒットしたのには、お手頃な価格に加えて、製品コンセプトとノスタルジアがコアファンに受けたことが大きい。「バーチャルコンソール」は何年も前から提供されているが、往年の任天堂ファンでもゲーム機に300ドルも費やしたくない人は多い。そんなファンたちに手頃な価格を打ち出したことが、大ヒットにつながった。

ミニSNESやミニN64の登場も期待

同様の理由から、ミニSNESやミニN64を投入すれば大ヒットする可能性が高い。話題の新製品「ニンテンドースイッチ」が予定通り来春リリースされたとしても、製品コンセプトが全く異なるためにカニバリを起こすことはなく、同じユーザーが両方の製品を購入することだって十分考えられる。

復刻ビジネスの成功の鍵を握るのは、価格設定だ。NES Classic Editionを60ドルで購入した人は、掘り出し物を見つけたときのようなお得感を味わったことだろう。現在ネット上で取引きされている価格を見る限り、次回は80ドルから100ドルの価格設定でも十分売れることが予感できる。

「過去の遺産」をさらに活用すべき

任天堂にとってNES Classic Editionの開発は、ニンテンドースイッチやスマホゲームのリリースを控えた中で、ちょっとしたサイドプロジェクトという位置付けだったかもしれない。しかし、ファンたちはそうは受け止めず、任天堂自身にとっても予期せぬ大ヒットとなった。

これを機に、任天堂は過去の人気タイトルの持つ価値の大きさを再認識すると同時に、バーチャルコンソールだけではファンのニーズに応えきれていないことを理解するべきだ。過去タイトル専用のハードを発売することで、3DSやWii U、スイッチなどに数百ドルも費やしたくないユーザーの需要に応えられる。

また、任天堂も自社の最新ハードと競合することなく新たな売上を獲得することができるため、任天堂とユーザーの双方にとってメリットが大きい。今後のホリデーシーズンに任天堂が新たな復刻版ゲーム機をリリースすることを大いに期待したい。

編集=上田裕資

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