順調に開発が進めば、同社は2033年間の運行開始を目指している。すでに退役した唯一の超音速旅客機、エアバスのコンコルドの飛行速度はマッハ2.0だったことから、完成すればXB-1は、世界最速の民間旅客機となる。
同社によると、XB-1は座席数45で、従来型の航空機のビジネスクラスと同様の座席配置となる。運賃は、燃費が悪かったコンコルドより大幅な引き下げが可能になる見通しだ。また、旅行サイト「ザ・ポインツ・ガイ」によれば、ブームのブレイク・ショール最高経営責任者(CEO)は、往復航空券の価格を、現在の航空運賃と同程度となる約5,000ドル(約55万円)に設定したい考えだという。
ただ、技術的に乗り越えければならないハードルは残されている。ブームは2017年から音速以下での飛行試験をデンバー地域で実施。その後、超音速での飛行試験をエドワーズ空軍基地で行う予定だ。
強力な支援者が強み
ブームの強みは、商業運行向けの次世代航空機の開発を進めてきた米ヴァージン・ギャラクティックの子会社、ザ・スペースシップ・カンパニーとの提携だ。スペースシップ・カンパニーは、英ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長と著明な航空機設計者バート・ルータンが創設。すでに宇宙船「VSSユニティ」と「VMSイブ」を完成させている。
超音速旅客機の製造には現在、複数の企業が取り組んでおり、米航空機メーカーのアエリオンも昨年、試作機を発表している。だが、ブームは積極的な開発計画により、すでにヴァージン・アトランティックに10機を販売することで契約を結んでいるという。
スタートアップのデータベース「クランチベース」によれば、ブームはシードラウンドでは約200万ドル(約2億2,110万円)を調達。主な出資者は、ベンチャーキャピタルのYコンビネータとなっている。