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2016.11.18

米国にはびこる偽ニュースの「恐ろしい」実態

Hadrian / Shutterstock.com


だが8億ドルという金額を冷静に見れば、あり得ない話だということが分かる。ツアー興行収入の世界最高記録は、U2が2009~2011年に110公演以上を行い売り上げた7億3600万ドルだ。これを上回る額をブランソンが提示し、レッド・ツェッペリンが拒否するなどという話は、国境の壁建設費の支払いにメキシコが同意するという考えと同じくらいばかげている。

音楽ビジネスに疎かったとしても、ニュースの情報源がタブロイド紙であることに疑問を持つべきだ。さらには、関係先に電話やメールの一本でも入れれば、虚報の拡散を防ぐことができたはずだ。筆者は当時、ヴァージンの広報担当に問い合わせ、このニュースは全くの誤りだとの返答を得ている。

読者にできるのは、見聞きした情報をうのみにしないことだ。シェアする前に記事を最後まで読もう。もし提供元が聞いたことのないオンラインメディアだったら、その情報が本当かどうか調べ、名の知れたメディアだったとしても、ガセネタで有名なタブロイドや偽ニュースサイトが情報源になっていないかチェックしよう。

セレブリティにできるのは、記者の取材に応じること。自分の言葉がゆがめられることが心配なら、記者にインタビュー内容を録音させ、責任の所在をはっきりさせられるようにする。「オフレコ」や「オンレコ」といった業界用語や、匿名を条件とした取材の意味を理解しておこう。

ジャーナリストにできるのは、自分や他人の記事内容を検証すること。すべての関係者に取材を申し込み、双方の言い分を聞くことが大切だ。自分の記事にリンクを貼る場合、その情報の出所がはっきりしている場合に限ること。電話取材を活用し、誤った情報を察知する仕組みを作ること。相手がセレブだからといって、厳しい質問を控えるべきではない。リアリティー番組のスターでも同じだ。トランプのように大統領になることだってあり得るのだから。

翻訳・編集=遠藤宗生

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