中国では国内旅行もブームとなっている。ホテルデータサイトTophotelprojectsによると、南部のビーチリゾート海南島からチベットに近い四川省の雪山地域まで、中国では今年、高級ホテルが516軒建設される見込みという。
市場調査会社China Skinnyのシニアマーケティングマネジャー、アン・ビアボアーによると、これらのホテルがターゲットにしているのは、中国のファミリー層だ。「中国では家族旅行が盛んになっており、家族全員に対応できる場所が求められている」
中国人は春節(旧正月)に故郷に帰り家族と過ごすことがほとんどだが、最近ではその期間に旅行する家族も増えている。国内旅行産業は成熟段階を迎え、グループ旅行や個人自由旅行への関心が高まっている。“90後”(1990年代生まれの世代)が親になり、家族と過ごす時間を重視する中で、旅行もその手段になりうると業界関係者は期待する。
ファミリー層の取り込み狙う高級ホテル
上海中心部から車で1時間半の崇明島に建つ五つ星ホテルの「ハイアットリージェンシー崇明」は、開業時から家族をターゲットにしている。広々とした屋外プレイエリア、植物が植えられ動物とふれあえるファームランドがあり、子供向けの体験アクティビティ、レンタル自転車、キャンプ場所、さらには犬用のプールまで用意されている。
ゼネラルマネジャーのカロル・レンは、「レゴクラスや子供のパーティルームの設置についても検討している。家族連れの多くは、都会生活からの解放を求めて崇明に来ており、子供に対しても、都会とは違った体験をさせたがっている」と語った。
リッツ・カールトンは10月、中国有数の景勝地、九塞溝に完全なヴィラ形式のホテルを建設すると発表した。広報担当者は「裕福な個人旅行者を顧客に想定している」と説明した。リッツも最近、室内娯楽や体験プログラムなど、子供向けのキッズプログラムを始めた。
デザイナーホテルやリゾート色が濃いホテルも、家族向けサービスを強化。昨年、成都では「ザ・テンプル・ハウス」がオープンした。古い寺院が並ぶ場所に建てられた室数100室の上品なホテルは、今年の国慶節期間中(10月上旬)、家族連れで満室となった。
ホテルの広報責任者、グレース・チュアンは、「全てのゲストに我が家のようにくつろいでほしいと考えている。ピザ作り体験や子供の水泳クラス、映画上映、レンタル自転車などさまざまなアクティビティを提供しており、子供がアクティビティを楽しんでいる時間は、親のためのリラクゼーションサービスも用意している」と語った。