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2016.11.17

スポティファイが破壊する「CD大国ニッポン」 三千億円の音楽市場 

スポティファイCEO、ダニエル・エク (Photo by Andrew Burton/Getty Images)


「我々は世界中の音楽ファンに多様なジャンルのアーティストにふれる機会を提供し、音楽業界で最も大きな成長を牽引している。弊社のプラットフォームに参加することで、日本のアーティストらは世界1億人のスポティファイのユーザーに露出する機会を得る」と担当者は述べた。

今後、ストリーミングはメインストリームになるのだろうか? 時間はかかるかもしれないが、筆者はそうなると思う。しかし、ここで不都合な参考事例として挙げたいのが、Huluやネットフリックスの例だ。ジャパンタイムズは「これらの動画ストリーミング業者は、ツタヤなどの大手が支配するビデオレンタル市場に全く食い込めていない」と述べた。

しかし、スポティファイは強気だ。「我々は日本市場において全く前例の無いビジネスを立ち上げた。この分野で最高のディスカバリー機能を備え、個人の嗜好に合わせたパーソナライズを行ない、全ての人々に新たな音楽との出会いを提供していく」

ドイツの音楽市場を救ったスポティファイ

前出の朝妻は、スポティファイの上陸は特に若い世代の音楽ファンに大きなインパクトを与えると考えている。

比較対象として最もふさわしいのは、日本に次いで第三位のドイツの音楽市場だ。スポティファイは2012年3月にドイツに乗り込み、そこで次のような成果をあげたと説明している。

「スポティファイはドイツの音楽売上(デジタルとフィジカルの合計)を昨年、4.6%増大させた。2014年と比べると増加率は2倍以上で、2013年との比較では3倍に達する。無料でも有料でも利用可能なサービスを提供することで、スポティファイは世界中で1億人以上のユーザーと、アーティストらをつなぐ役割を果たしてきた。日本の全ての人々に利用されるサービスを目指している」

スポティファイは果たしてこのまま成功への道を走り続けるのだろうか。フリーミアムのパワーは、音楽業界の成長を生み出すのだろうか。今後の事態の成り行きを、注意深く見守っていきたい。

編集=上田裕資

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