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2016.11.21

シンガポールを「拠点」に、フロンティア市場と繋がる日

石井淳子:日本貿易振興機構(ジェトロ)シンガポール事務所長。ビジネス展開支援部などを経て、今年9月より現職。

父の仕事の関係で、10代後半の3年間をオーストラリアで過ごした。通っていた大学には、留学生らが集まるサロンのような場所があり、中華系東南アジアの人々と多く知り合いになった。「アジア・オセアニア」と言われるだけあって、アジアは距離的にも心理的にも、近い場所。

「その頃から、漠然と『日本と東南アジアに関係する仕事をしたい』と思うようになりました」

ジェトロ・シンガポール事務所の所長、石井淳子はそう振り返る。

大学を卒業した後、ジェトロに入り、途上国の貿易を促進する部署に配属される。仕事を始めてすぐに、「自分がやりたかったのはこれだ」と、膝を叩いた。フィリピン駐在やアフリカ諸国でフロンティア市場の開拓などに携わった後、今年9月にジェトロ・シンガポール事務所の所長に就任。シンガポールから日本に進出しようとする企業と、日本からシンガポールに進出しようとする企業。双方を支援するのが彼女の役割だ。

取材に訪れたのは、シンガポールでの業務初日。世界で見てきたこと、感じてきたことをベースに、シンガポールの「これから」について、独自の視点で切り込んだ。

「日本企業にとって、シンガポールは目指しやすいマーケット。だからこそ、『なぜ、シンガポールにあるのか』が問われる時代になったのではないか」

そう、石井は言う。

たとえば、シンガポールの中心地には、日本の資本が入った飲食店が多く進出している。地方に拠点を置く店が東京を経由せずに、直接シンガポールに進出するケースも少なくない。そうした店が増え続けていったとしたら。5年後、10年後もシンガポールに存在し続けることはできるのだろうか。

これは飲食店に限らず言えること。同じように、日本から目指しやすいマーケットとして、石井が例に挙げたのは、香港。

「香港であれば、マーケットが飽和状態になったとしても、中国を目指せる。もともと、中国へのゲートウェイとして機能しているという面もある。シンガポールの場合、それは例えば隣国マレーシアへと考えられなくもないですが、それなら始めからマレーシアを目指せば良い、という話になると思うんです」

シンガポールは、ASEANの真ん中に位置する、という恵まれたロケーションから、多くのビジネスマンを惹きつけてきた。アジアのどこの国へでもほとんど等距離で行くことができるうえ、英語でビジネスを進めることもできる。石井も、「システム上も、思考的にもビジネスがスムースに行く国」と表現する。

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ジェトロ・シンガポール事務所があるのは、シンガポール屈指のビジネスエリア

地域の統括拠点としてシンガポールに拠点を置く企業も多いが、そうした機能を別の地域が担うことになったとしたら?

「シンガポールに拠点を持つことの存在意義を精査していかなければいけない。そんな風にも感じています」

では、新たな存在意義をどこに見出すべきなのか。これまでの経験から石井の頭に浮かんだことの一つが、「第三国展開」だった。これは、自身が挑戦してみたいことでもある。

「一足飛びにアフリカには行かないと思うのですが、たとえば、シンガポールから中央アジアに展開したいと考えている企業はないか。インドまでは進出している企業もあると思うのですが、その先にも可能性はあると考えます」

たとえば、IT分野で、インドのお隣バングラディッシュやスリランカを目指してみる。中央アジアに関する情報は決して多くはないが、中央アジアではいま、日本製の紙おむつが人気だという。シンガポールから、フロンティア市場を目指す。両者を繋ぐ。そこに可能性を感じている。

ジェトロ・シンガポール事務所では、シンガポールから日本への投資にも重きを置く。たとえば、9月下旬に東京・銀座にオープンしたシンガポールのポークジャーキー専門店「ビーチェンヒアン(美珍香)」。神奈川県に工場をつくる際など、自身が横浜事務所に勤務していた時から何年にも渡り、進出を後押ししたという。

「少し切り口の違う企業も、どんどん日本市場を目指していって欲しいと思う」

豊富な知識と経験を活かし、シンガポールに新風を吹き込んでいる。
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PR by シンガポール政府観光局 編集=古谷ゆう子 写真=原 隆夫/ Luxpho

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