「真実を写す」のが日本人らしさ -今、東京で写真を見る/集めるということ

石井孝之氏。タカ・イシイギャラリーにて。 Photograph by yOU(河崎夕子)

11月18日から20日までの3日間、茅場町共同ビルディングで開催されるフォトフェア(写真見本市)「アートフォトトウキョウ―エディション“ゼロ”」(ART PHOTO TOKYO -edition zero-)。約60のギャラリーと写真家・クリエイターが参加し、新しい写真・映像の文化を東京から世界へと発信する。

同フェアに参加するタカ・イシイギャラリー(六本木)は、荒木経惟や森山大道など日本を代表する写真家の作品や、海外のコンテンポラリー・アーティストによる写真など幅広く取り扱う。代表・石井孝之氏にインタビューした。

――なぜ今、新しいフォトフェアがスタートするのでしょうか?

京都にはKYOTOGRAPHIEのような写真のフェスティバルがあるのですが、東京にはなく、必要だという思いがありました。1930年代くらいから、日本の写真家の層は厚く、すばらしい写真家を輩出しています。細江英公さん、東松照明さん、森山大道さん、荒木経惟さん、杉本博司さんの5人はよく知られていますが、あまり紹介されてこなかった写真家も多いです。

また、50年代の実験工房や60年代のハイレッド・センターなど、コンセプチュアルなパフォーマンスなどの活動をしたアーティストたちのドキュメンテーションは写真や映像のかたちで残っていますよね。そういう日本の写真に興味を持つ人は、今海外でもすごく多くなっています。

――例えば美術館などでの展覧会と異なる、フォトフェアならではの醍醐味は何でしょうか?

写真がその場で買えるということ、作品に値段が表示されていることではないでしょうか。もちろん、参加ギャラリーのスタッフに作品について質問したり、写真集などの資料を探すこともできます。

アートフォト東京に参加するギャラリーの顔ぶれを見れば、レベルが高いフェスティバルに匹敵する内容が期待できます。現代美術系のギャラリーが多いので、どちらかというと現代美術の写真が多くなると思います。
 
今回、うちのブースはルーク・ファウラーというスコットランドのアーティストによる写真を展示します。彼がメインに制作している映像はコンセプチュアルですが、写真はもっとストレートです。日常で気になる風景やものをスナップした記録を、一枚の印画紙にダブルイメージでプリントした、すごく静かでポエティックな作品です。

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Luke Fowler "A Moment of Scrutiny", 2011
C-prints 64.6 x 64.6 cm Price: 380,000+TAX
(c) Luke Fowler Courtesy The Artist, The Modern Institute/Toby Webster Ltd, Glasgow, Galerie Gisela Capitain, Cologne and Taka Ishii Gallery, Tokyo
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構成=辺見海

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