同フェアに参加するタカ・イシイギャラリー(六本木)は、荒木経惟や森山大道など日本を代表する写真家の作品や、海外のコンテンポラリー・アーティストによる写真など幅広く取り扱う。代表・石井孝之氏にインタビューした。
――なぜ今、新しいフォトフェアがスタートするのでしょうか?
京都にはKYOTOGRAPHIEのような写真のフェスティバルがあるのですが、東京にはなく、必要だという思いがありました。1930年代くらいから、日本の写真家の層は厚く、すばらしい写真家を輩出しています。細江英公さん、東松照明さん、森山大道さん、荒木経惟さん、杉本博司さんの5人はよく知られていますが、あまり紹介されてこなかった写真家も多いです。
また、50年代の実験工房や60年代のハイレッド・センターなど、コンセプチュアルなパフォーマンスなどの活動をしたアーティストたちのドキュメンテーションは写真や映像のかたちで残っていますよね。そういう日本の写真に興味を持つ人は、今海外でもすごく多くなっています。
――例えば美術館などでの展覧会と異なる、フォトフェアならではの醍醐味は何でしょうか?
写真がその場で買えるということ、作品に値段が表示されていることではないでしょうか。もちろん、参加ギャラリーのスタッフに作品について質問したり、写真集などの資料を探すこともできます。
アートフォト東京に参加するギャラリーの顔ぶれを見れば、レベルが高いフェスティバルに匹敵する内容が期待できます。現代美術系のギャラリーが多いので、どちらかというと現代美術の写真が多くなると思います。
今回、うちのブースはルーク・ファウラーというスコットランドのアーティストによる写真を展示します。彼がメインに制作している映像はコンセプチュアルですが、写真はもっとストレートです。日常で気になる風景やものをスナップした記録を、一枚の印画紙にダブルイメージでプリントした、すごく静かでポエティックな作品です。
Luke Fowler "A Moment of Scrutiny", 2011
C-prints 64.6 x 64.6 cm Price: 380,000+TAX
(c) Luke Fowler Courtesy The Artist, The Modern Institute/Toby Webster Ltd, Glasgow, Galerie Gisela Capitain, Cologne and Taka Ishii Gallery, Tokyo