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2016.11.15

アディダスアウトドア、売上好調な「トレイルラン」シューズで勝負

Radu Bercan / shutterstock.com

アディダスのアウトドア製品の中で、トレイルランニングシューズが急速に売り上げを伸ばしている。

アディダスは今年8月、2017年春に発売するトレイルランニングシューズの先行予約が対前年比で62%増だったと発表した。米アウトドア協会によれば、トレイルランニングは2015年に最も流行したスポーツの1つで、過去3年間で11%の成長をみせている。

米国トレイルランニング協会によると、トレイルランニングを楽しむ人の76%が走る際には専用のシューズを着用し、67%が毎年2足以上を購入しているという。この調査で、アディダスは「お気に入りシューズブランド」に選ばれなかったが、今後優れた製品の開発を続けていけば状況は可能性がある。

クラシックな「スタンスミス」の人気が復活する一方で、アディダスはアウトドアシューズにおいても主力ブランドとなることを目指している。実際、アディダスアウトドアは2011年にアメリカ市場に参入して以来、毎年2桁成長を遂げている。先日発表された登山用ブーツやボートシューズなど来春向けモデルも、多くの愛好家の心をつかむだろう。

いくつかのモデルは保護機能のあるゴアテックスを採用し、ソールにはマウンテンバイクのタイヤ専用ゴムの最大手メーカー、コンチネンタルのゴムを使っている。同社製のゴムは粘着性があり、ランニングや登山の際のトラクション(粘着摩擦)が大きくなる。

また複数のモデルには、もともとBMWのダッシュボードの滑り止めパッド用に作られたBASF社製の新素材「ブースト」を使用。空気を含む粒子を層状に成型した素材で、衝撃に対する反発力を備えており、低い気温でも柔らかさを保ち、高温になっても柔らかくなりすぎないという特徴がある。

マウンテンバイク用シューズには、「ステルスラバー」というこのジャンルではより一般的な素材をソールに使用。「多目的に使えるように考えられており、登山にも、シティにも、マウンテンバイク用にも使えるシューズだ」とアディダス・アウトドアのグレッグ・トムセン担当責任者は話す。

新たなテクノロジーを用いた登山用シューズは、ソールの下に通気口があり、「足の裏とソールの間にゴアテックスを挟むことで、360度“呼吸ができる”」設計。トムセン曰く「柔らかくて軽くて、防水機能があり通気性に優れている。革命的なシューズ」だという。一般的にこのジャンルでは茶系が多い中で、鮮やかな色使いというのも象徴的だ。

アウトドアカテゴリーにおいて、アディダスはまだ競合に追い付けていない。現在、トレイルランニングシューズ部門で人気を集めているのは、白く大きなソールが目印のホカ・オネオネ(Hoka One One)という新興ブランドで、米国トレイルランニング協会誌の読者が作成したお気に入りシューズランキングで1位に選ばれている。

ホカ・オネオネの親会社であるデッカーズ・ブランズは、アグ(Uggs)やテバ(Teva)、サヌーク(Sanuku)やアニュ(Ahnu)といったシューズブランドも所有している。

とはいえアディダスには、成型靴製造のためのハイテク機器に投資を行う資金力があり、そこで差別化を図っていくことができる。小規模なシューズメーカーにはない強みだ。それに加え、アウトドアスポーツ・コミュニティーとつながる取り組みをしていくことで、トレイルランナーたちの支持を獲得できるだろう。

編集=森 美歩

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