─世界では今、ありとあらゆる分野で「デジタル・ディスラプション」(テクノロジーを使った破壊的イノベーション)が進行していますが、同時に、それを起こせる企業とそうでない企業に明確に分かれつつある。山名社長はコニカミノルタを自ら創造的破壊を起こせる企業へと変革していこうとされているかと思いますが、そのために、社内に対してはどのような働きかけをされているのでしょうか。
ことあるごとにイノベーションの重要性を説いています。昨年10月にも「イノベーションの輪」と題した動画を作り、社員に向けてメッセージを発信しました。英語に翻訳し、海外にも流しています。6月には、全世界の組織を対象に「グローバル・アワード」も開催しました。技術だけではない、新たな顧客価値の創出に取り組んだチームを表彰しています。
今年のアワードには、全世界から200件超の応募がありました。1チーム3人編成でファイナリストに残ったのは10チーム。日本、アメリカ、香港、ドイツ、それと国をまたがった混成チームで応募してきたケースもありました。当日は全員が一堂に会し、一日中、英語で発表や質疑応答をしました。
日本で開催しましたので、部署に関係なく問題意識のある国内の社員を約80人集め、パーティでファイナリストたちと交流させたりもしました。当日の映像は社内SNSで公開し、当時参加できなかった社員も自由に見られるようにしています。道のりはまだまだ長いですが、少しずつ意識変革が進んできているところです。
ビジネス環境の変化はコントロールできませんが、変化の先頭にたつことはできます。イノベーション100委員会の会合でも話に出ているように、日本の経営者の中にも、強い危機感を持ち、変化にただ対応するのではなく、自ら新しいビジネスモデルをつくることで先頭に立っていこうという流れは出てきています。それがとても大切だと思っています。
山名昌衛◎コニカミノルタ取締役兼代表執行役社長。1954年、兵庫県生まれ。77年早稲田大学商学部卒業後、ミノルタカメラ(現コニカミノルタ)入社。2002年執行役員企画本部経営企画部長、06年コニカミノルタホールディングス常務執行役、13 年コニカミノルタ取締役専務執行役、14年4月から現職。
西口尚宏◎一般社団法人Japan Innovation Network発起人かつ専務理事。日本長期信用銀行、世界銀行グループ人事局、マーサー、産業革新機構を経て、現職。