新たなマーケットを動かす「孫を持つシニア層」

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ムーアは1998年、ウォッチD.O.G.S.(ダッド・オブ・グレート・スチューデンツ=“素晴らしい生徒たちの父親”の意)という組織を立ち上げた。同組織には60万人の父親たちが登録し、自分の子どもが通う学校で、勉強の個人指導や放課後のパトロールなどのボランティアに参加した。子どもにも父親にも、さらに各公立学校にとってもプラスになるプログラムだ。

ムーアが師と仰ぐのが、NPO全国父親センターの創設者であるケン・カンフィールド博士(その後ウォッチD.O.G.S.も同NPOに吸収された)だ。貧しい都市地域と裕福な郊外地域の両方で豊富な経験を持つカンフィールドが、その後グランズ・マターを立ち上げ、シニア層の様々な問題を取り扱ったている。

裕福な世帯でよく問題になるのは事業の継承だ。「税法や資金計画ばかりを学んできた専門家は、人間関係のバトンを次世代に受け継ぐ方法を知らない」とカンフィールドは言う。「我々は、祖父母となった企業オーナーを支援し、彼らの価値観や行動規範を事業の重要な一部として引き継ぎつつ、子どもや孫たちが自主的に事業運営を行っていけるような相続プランを作成できるようにする」

貧しい世帯においては、感情的・物理的・金銭的に安心して暮らしていけるようにすることが最大の問題となる。「現在、援助を必要とする孫たちは750万人おり、その祖父母たちは支援を必要としている」とムーア。彼らのために利用可能な制度や組織を探し「絶えずコミュニケーションを取っていく。決して諦めるな、というのが我々のメッセージだからだ」と言う。

またカンフィールドは、祖父母たちは治安が悪い地域でも行きずりの犯罪の被害になることが滅多にない、と指摘する。彼らは、他人にほとんど敬意を持たない者たちからも尊敬を勝ち取っているのだ。これは、全ての祖父母に当てはまる重要な事実であり、グランズ・マターのミッションに通づるものでもある。

つまり、孫を持つシニア層はリソースを必要としているだけではない。彼ら自身が資産であり、私たちは今後まだまだ、その資産を活用しきれていないのだ。

編集=森 美歩

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