では2016年時点での以下の人口動態はどうだろう。
「アメリカにいる祖父母(孫を持つ高齢者)は7,400万人。毎年、200万人近いペースで増え続けている。既にアメリカの全世帯の40%を占め、その割合はますます高まっている。また、祖父母たちはアメリカの富の75%を握っている」
これは、ビジネス上の観点からすれば魅力的な数字だ。そして当然ながら、多くの企業が既に直接的・間接的にこのセクターに重点を置いている。
一方で、別の統計結果もある。裕福なシニア層がいると同時に、アメリカ社会には祖父母が直接孫の面倒を見ている世帯もたくさんあるというものだ。両親が失踪または死亡したり、罪を犯して服役している家庭だ。
こうした祖父母には、3世代で一緒に行けるパック旅行を専門とする旅行代理店は必要ない。彼らのニーズは、一見ビジネスとはまったく別の世界にあるように見えるが、必ずしもそうとは限らない。
そこで登場するのがジム・ムーアだ。ムーアは、孫を持つシニア層のニーズに応じた情報提供を行う組織グランズ・マター(Grands Matter)の代表を務める。
「我々は全米退職者協会(AARP)のような重要な組織とは大きく異なるサービスを提供していく考えだ」と彼は言う。「グランズ・マターは保険やその他商品の情報センターではなく、支援運動も行わない。孫を持つシニア層に直接働きかけ、彼らが祖父母としての役割を果たすための支援し、直面している幅広い問題を解決していく」
例えば裕福なシニア層には、遺産相続計画の新たな戦略を提案したり、相続を専門とするプランナーを紹介したりする。金銭的に余裕がないシニア層には、無料または手頃な価格で利用できる地元のデイケア施設を探したりする。