すでに英国では海外送金市場の8%のシェアを掴む
─昨年からサービス提供エリアをグローバルに拡大し始めました。2015年にアメリカとオーストラリア、今年は日本、ブラジル中国などでサービスを開始しています。今後はカナダ、ニュージーランド、香港へも進出予定です。進出国でのユーザーの利用状況を教えてください。
すでにグローバルでの従業員数は600人を超える規模になり、1カ月の送金額は8億ポンド(約1,100億円)規模に成長しています。グローバルでの口座数は100万口座を超え、36カ国から送金でき、55カ国で受け取ることができるようになっています。海外送金1件あたりの平均額は、だいたい20万〜30万円程度です。英国では3〜4カ月前にビジネスユーザー向けのサービスを立ち上げましたが、基本的には個人ユーザーがターゲットです。
当社が最初にビジネスをスタートした英国内では、すでに送金市場の8%のシェアを持っています。間もなく10%に到達するでしょう。グローバルでの当面の目標は、マーケットシェアの5%をとること。日本市場でも、まずは2〜3年で5%のシェア獲得を目指します。
─送金したい通貨が主要通貨の場合はそれなりに需要がありそうですが、それ以外の国の場合は、内部資金で通貨量のバランスをとれるのでしょうか?
英ポンド、ユーロについては、当社の内部資金でほぼマッチングできている状況です。一方で、取引量が多くない通貨の場合は、金融機関と提携することで、資金の流動性を担保しています。当社で確保しきれない不足分については、金融機関に補ってもらう仕組みです。通貨によっては、米ドルを経由させて送金することもあります。
─資金の流動性を担保する以外に、銀行など既存の金融機関とはどのように連携を図っていますか?
銀行とは、競争しつつも協力するというスタンスです。銀行は近年、“フィンテック”企業から追い上げられる立場チングすれば、銀行の仲介を避けられる基本的には個人ユーザーがターゲットです。にあります。貸し付け、資産運用、送金…といった分野で、フィンテック企業が銀行よりも優れたサービスを提供するようになっているからです。
金融分野に限らず、将来的にはあらゆる分野が、より安く、スピーディで、より良いサービスを目指す方向に向かっていくことになるでしょう。賢明な金融機関はそれを見据えており、テック企業同様に機敏に動く必要があると認識しています。銀行側も、フィンテックのプラットフォームを活用して、一緒にやっていった方がいいと考えているのです。
当社は決済であれ、流動性の提供であれ、世界中で銀行と協力してビジネスを展開しています。不明瞭な手数料をとるのをやめて、トランスファーワイズと協業したいという金融機関とは、喜んで手を組みたい。すでにドイツのモバイル銀行N26などが、当社のサービスを利用しています。
─最後に、ヒンリクスCEOは、エンジェル投資家としても活動されています。どのような分野に関心をお持ちですか?
フィンテックに限らず、幅広い分野に関心があります。従来のやり方を変えようとする人に興味を持ちますね。
ターベット・ヒンリクス◎トランスファーワイズ共同創業者兼CEO。2010年、クリスト・カールマンとトランスファーワイズを設立。マーケティング、商品開発、PR、IRを担当。エンジェル投資家、アドバイザーとしても活動しており、企業支援にも積極的に取り組む。