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2016.11.11

「爆買い新時代」を生む中国ミレニアル世代 2020年に3億人に成長

photo by Lane Oatey / Blue Jean Images / gettyimages

今年10月の国慶節の休暇には600万人の中国人が海外旅行を楽しんだ。大学4年生のシャオ・ジエ(21)もその一人だ。日本への旅行代は約1,500ドルで、彼女の両親が費用を出した。一人っ子のジエは欲しいものは、ほぼ何でも手に入れられる。

中国国家観光局によると2015年、のべ1億2,000万人が海外に旅行し、計1,940億ドル(約20兆円)を使った。その半分は1980年以降に生まれたミレニアル世代で、海外旅行の総支出の3分の2はこの世代によるものだ。

旅行産業はリッチな中国のミレニアル世代に熱い視線を注ぐ。裕福な家庭に育った者もいるが、大半はそうではない。しかし、欧米のミレニアルと比べて彼らには2つの大きなアドバンテージがある。

学費ローン問題は存在しない

まず、中国のミレニアルは学生ローンを背負っていない。大学の学費は、親にとって大きな負担ではない。杭州郊外の大学でファッションデザインを学ぶジエの学費も、彼女の両親が払っている。彼女は卒業後にローンを返済する必要はない。

大学卒業生の多くは同じ状況にある。Tuition.ioによると、中国の大学の学費は年間平均2,200ドル(約23万円)で、中国人の家庭にとって重い額ではない。中国文化が借金を嫌うこともあり、学生ローンはほとんど存在しない。

この状況は米国のミレニアル世代と大きく違う。学生ローン残高は総額1兆3,000億ドル(約136兆円)にのぼり、700万人以上が返済不能状態にあり、さらに数百万人が返済に苦労している。

中国世帯の90%は持ち家

2番目のアドバンテージとして、中国のミレニアルの多くは住宅ローンを抱えていない。中国世帯の90%は持ち家を所有し、これらの家の80%は抵当権などがついていない。例えば、シャオ・ジエの家族は家を2軒持っており、どちらも現金で買った。ジエの父は政府系公益事業会社に勤務し、母は病院の管理職だ。富裕層ではなく、生活に余裕のある典型的な中間層である。

現金で購入した数軒の家を所有するケースが、特に珍しいわけではない。住宅ローンは十分に整備されておらず、投資の一環として不動産を現金で購入する中国人は多い。

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編集=上田裕資

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