実業家ハワード・ヒューズのスーツのこだわり[大富豪の嗜好品 #2]

ハワード・ヒューズ

ビジネスにおける成功者たちは、その人生においてどんなスタイルを好んだのだろう。その一端を垣間見るだけでも、我々も高みへといけるのではないか?そんな気持ちにさせてくれる大富豪たちの物語。

#2 ハワード・ヒューズ /実業家

裕福な家庭に生まれたハワード・ヒューズは、18歳にして父が遺した莫大な財産を受け取ることとなる。黙っていても特許料で大きくなっていく会社と財政を背景に、彼は趣味である映画製作と飛行機に没頭した。

一見、親の七光りとみられがちだが、そのビジネスのセンスは本物。19歳でヒューズ・ツール社のオーナーとなった彼は、まず映画づくりに着手。多額の出費を重ねながらも、アカデミー喜劇監督賞、作品賞にノミネートされるなど、計25作品の監督や製作に携わり、クリエイターとしての評価はそれなりのものを得ている。

1932年、27歳になった彼はヒューズ・エアクラフト社を設立すると、多数の航空エンジニアや機体設計デザイナーを雇用し、「ヒューズH-4ハーキュリーズ」の製作などに時間を費やす。

その傍ら、44年には政府と第二次世界大戦中の巨大飛行艇の設計を請け負う契約を結ぶことに成功。その後も、30年代に自らが操縦する飛行機でアメリカ大陸横断時間の記録を更新し続けるなど、生涯を通じて果敢に仕事と趣味に資産を投じた。彼が遺した「ハワード・ヒューズ医学研究所」は、いまなお全米2位の規模を誇る慈善団体として存在している。

ヒューズが浪費した金額、5兆円以上

16歳のときに父が遺した財産の75%(約87万ドル)と、ドリルビットの特許を受け取った彼は、会社の規模が拡大していく一方で、多額の出費をしたことでも有名だ。ハリウッドに転居した彼は、「地獄の天使」という作品で100万ドルという巨額の製作費をかける。

また飛行機製作に情熱をかける一方で、キャサリン・ヘップバーンなどと浮名を流し、生涯で3回の結婚をしている。そのため離婚(3回)の慰謝料は多額を極めた。

映画製作 : 1兆円以上
飛行機製作 : 3兆円以上
慰謝料 : 1兆円以上

彼が愛したスタイル

ハワード・ヒューズの半生を描いた映画「アビエイター」(2005年公開)で、ヒューズ(レオナルド・ディカプリオ演)が、部下に「J.C.ペニーで服を買ってこい。2着のスーツで明るい色と暗い色だ。Yシャツとテニスシューズも」というシーンがある。背が高かったヒューズはダブルのスーツを愛用し、飛行機に乗るため、時にテニスシューズを履いたようだ。

それらを踏襲しながら彼のスタイルをいまっぽく表現するには、約9割の素材が「Exclusiveファブリック」で、1着のジャケットを作るのに180人もの職人が携わっているテーラーブランド「キートン」のスーツがいい。足元は、数あるメーカーのなかでも「ニューバランス1400」の黒がしっくりとくる。

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スーツ1,100,000円、ニット180,000円(ともにキートン/キートン)スニーカー23,000円(ニューバランス/ニューバランス ジャパン)Photo by Junji Hata

編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.28 2016年11月号(2016/09/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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