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2016.11.10

売上2兆円突破の爆買いセール、中国「シングルデー」の破壊的威力

photo by VCG / gettyimages

中国のアリババが初めてオンラインセールを実施したのは2009年の11月11日、参加したのはわずか27店舗だった。その後、アリババはマーケティングを駆使し、物流チェーンを整え、11月11日を世界最大のECショッピングの祭典に育てた。

11月11日は1(シングル)が並んでいることから、中国では古くから「独身の日」と呼ばれおり、欧米では近年「シングルデー」との呼び名で認知度を高めてきた。

西洋ではオンラインのメガセールと言えばブラックフライデー(11月の第4金曜日)か、その翌週のサイバーマンデーが有名だが、今後はシングルデーにも注目すべきだ。そこにはO2O(オー・ツー・オー)や越境EC、デジタルマーケティング等、Eコマースのイノベーションが満載だからだ。ここではシングルデーについて知っておくべきことを紹介する。

今年は売上2.2兆円突破の可能性

2015年、アリババのシングルデーの売り上げは140億ドル(約1.5兆円)を超えた。その額は米国のブラックフライデーとサイバーマンデーの合計の販売額、58億ドルの倍以上だ。アリババの中国のECサイトには数百万の店舗が出店し、利用者は4億4,000万人に達する。筆者の予測では今年は210億ドル(約2.2兆円)を突破すると見ている。アリババに匹敵するプラットフォームは世界で他にない。

ケイティ・ペリーをイベントに起用

中国でショッピングは単なる取引ではなく、イベントだ。アリババは今年、スーパーボウルのプロデューサーとして有名なディヴィッド・ヒルを米国から招き、11月10日の夜から盛大なカウントダウンイベントを開催する。イベントの目玉にはケイティ・ペリーが登場し、韓国や台湾のバンド、ドイツのサッカースターのトーマス・ミュラーも駆け付ける。ダニエル・クレイグが登場した昨年のイベントの中国での視聴者は1億人を超えた。

そしてシングルデーの本来の目的も見落としてはいけない。消費者マーケットが世界で最も急成長している中国で、最も成長目覚ましいチャンネルがECだ。シングルデーは中国人消費者に新商品やブランドを紹介する大きな機会だ。シングルデーに特化した商品を用意したり、ライブストリームでコンテストやテレビショーを行うブランドもある。

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編集=上田裕資

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