#1 アーネスト・ヘミングウェイ/小説家
第一次世界大戦後、「トロント・スター」紙のフリー記者をつとめたヘミングウェイは、特派員としてパリにわたる。そこで知り合った、米国人作家ガートルード・スタインや音楽家たちとの知遇を得て、彼は小説を書き始めることとなった。自身の体験を元にした『誰がために鐘は鳴る』や『武器よさらば』は、のちに発表するハードボイルド文学の原点といわれている。
そのヘミングウェイは、生涯を通じて世界中にさまざまな居を構えたが、キューバで執筆した『老人と海』(1952年)は、2年後のノーベル文学賞受賞のきっかけとなった。自らの趣向を貫き大成した彼は、ひとりの作家というだけでなく、立派なビジネスマンではなかったか。いまなお、男たちのスタイルアイコンとして、世界中で愛されている彼の名を聞くと、そう思えてならない。
ヘミングウェイがもたらした経済効果、10兆円以上
ヘミングウェイが存命中に発表した6つの短編集を含む7冊の小説と2冊のノンフィクション小説は、その売上だけでなく、映画化に際する制作費や興行収入の面などで、多大な経済効果をもたらした。またキューバ生活中に愛飲したラム酒のカクテル「パパ・ダイキリ」は、いまなお世界中のリゾート地などで数多くの人に嗜まれている。これらを換算するとその経済効果は10兆円でも事足りないかもしれない。
『誰がために鐘は鳴る』(1943年)...... 1,780万ドルの興行成績
『老人と海』(1958年) ................... 500万ドルの制作費
「パパ・ダイキリ」 ........................... ラム酒の消費に貢献中
彼が愛したスタイル
ヘミングウェイは、その生涯を通じて釣りや狩猟、そしてボクシングなど、活動的な趣味に興じた。その様子は写真でたくさん遺されているが、なかでも狩猟ベストを着たスタイルが印象深い。まくり上げたシャツの袖、無造作にボタンを開けたオープンシャツ。そんな着こなしからは、ハードボイルドな彼の人となりがわかるようだ。
このスタイルを現代風にアレンジしてみるとしたら、「ブルネロ クチネリ」のナイロンベストが最適だろう。イタリアのウンブリア地方にある小さな村、ソロメオに拠点を置くクチネリは、カラーカシミアで有名なライフスタイルブランド。多くの自然を愛したヘミングウェイも、きっとこのベストを気に入るに違いない。
ベスト180,000円、ニット350,000円、シャツ72,000円、ハンチング42,000円(すべてブルネロ クチネリ/ブルネロ クチネリ ジャパン)Photo by Junji Hata