「フェイスブックで友人の数の多い人は死亡リスクが低い。しかし、フェイスブック上の友人が多ければ長生きするという訳ではなく、現実世界で友人との関係が深く、オンライン上の友人も適度に多いグループが最も長生きすることが分かった」と論文は述べている。
今回の研究はカリフォルニア州の公的な生体記録と1200万人のフェイスブックユーザー、非ユーザーのデータを照合して行なわれた。研究者らは1945年から1989年に生まれた人物を対象に、フェイスブックのプロフィール情報から、オンラインでの活動と寿命がどのような相関関係にあるかをリサーチした。
論文のタイトルは「オンライン活動と死亡リスクの低下との関連(Online social integration is associated with reduced mortality risk)」。研究メンバーにはWilliam HobbsやMoira Burke、Nicholas Christakis、James Fowlerらが参加した。
Hobbsは2013年にフェイスブックの研究所にインターンとして参加。Burkeは現在、フェイスブックの研究員を務めている。Hobbsはカリフォルニア大学の学士課程に在籍中に今回の研究を行なった。「フェイスブックは今回の研究内容を関知していない」とニューヨーク・タイムズの取材に答えている。
研究チームのFowlerは「フェイスブック上でフレンドのリクエストを行なうこと自体は、長寿とは結びつかない」という調査結果に驚いたという。彼らは当初、オンラインで積極的に友人を求める行為が、長寿に結びつくとの仮設を立てたが、実際はそうではなかった。
リア充は自殺のリスクも低い
死亡リスクが低いのは、友人たちと一緒に撮った写真を数多くアップロードしているグループだった。さらに、友人の投稿に適度な回数コメントしたり、メッセージを送るグループは自殺や心臓病、ドラッグのオーバードーズに陥るリスクも低かった。
研究チームは今回の調査は相関関係のみに焦点を当てたものであり「健康な人々は元々、強固な友人とのつながりを持っているというだけのことかも知れない」と述べている。また、調査対象者がカリフォルニア州の住民のみであることも、この結果の有効性に疑問を投げかけている。
筆者としては、現実世界での友人とのつながりが死亡リスクを低下させることには同意できる。活発に人と出会う人はSNS上の関係も強固になる傾向があるだろう。しかし、これを読んだ読者はどう考えるだろう。SNS上の友人が多いほど、健康だと言えるのだろうか? 今後、新たな調査が行なわれることを期待したい。