共和党のドナルド・トランプ、民主党のヒラリー・クリントン、どちらの候補が勝利しても、選挙後にはカナダに移住すると話す人が身近に複数いるという米国民は、筆者だけではない。さらに、米国のネット求人大手モンスター・ワールドワイドによれば、カナダ国内での就業先を探す米国人は今年に入り、すでに昨年一年間と比べて58%増加している。
モンスターのサイトで「カナダ」という検索ワードが入力された件数は、昨年は通年で約2万件だった。だが、今年は11月上旬までに、すでに約3万件に達している。
この数字を、大統領選に対する国民のいら立ちを直接的に示す傾向だと結論付けることはできない。しかし、今春にはグーグルの検索ワードにも、同様の傾向が見られた。12州で指名候補を選ぶ予備選が行われた3月上旬の「スーパーチューズデー」前後には、各州の結果を受けて、「カナダへの移住」という言葉での検索件数が急増した。
このとき最も検索件数が増えたのは、共和党支持者が多いワイオミング州。スーパーチューズデーの約1か月後に実施された同州の党員集会で候補に選ばれたのは、トランプ候補に60パーセントポイントの差を付けたテッド・クルーズだった。次いで検索件数が大きく増えたのは、バーニー・サンダースがクリントン候補に70パーセントポイントを超える大差で勝利したバーモント州だった。
人気の都市はトロント
モンスターのサイト上でカナダでの仕事を探した米国人のうち、最も多くの人が選んだ州はオンタリオだった(約7,500人)。そのうち3,000人近くが、同州の州都トロントでの就業を希望している。モンスターによれば、トロントでの求人件数は現在のところ約3万9,000件で、その他の都市を大きく上回っている。次いで求人が多いのは、アルバータ、ブリティッシュ・コロンビアの両州だという。
実際に米国からカナダに移住する人は、年間約9,000人。ただし、今回の大統領選に関連してこれまでに起きたことが何かの兆候だとすれば、これから何が起きてもおかしくはない。