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エアウィーヴ社 高岡本州会長 (photograph by Masahiro Miki)

錦織圭や浅田真央など、トップアスリートをはじめとする眠りにこだわる人が愛用していることで知られるエアウィーヴ社が開発した睡眠アプリが評判を呼んでいる。絶え間ないイノベーションの連続によって、エアウィーヴを世界的企業に押し上げた同社会長・高岡本州に、サービス開始に至るまでのストーリーを聞いた。

例えば、どんなに目覚めがよくても、本当に疲労から回復しているのか、きちんと眠れていたのか、自分の感覚だけを頼っても、なにか釈然としないもの。多くの人が睡眠に悩みを抱えている理由のひとつだろう。

エアウィーヴ社が、“満を持して”発表した睡眠アプリは、この社会の課題に対してひとつの答えを導き出そうとしている。エアウィーヴの会長、高岡は開発の経緯を次のように話す。

「私はアプリというのは、世の中の問題を解決するためのツール、インフラとして利用されなければならないと思っています。エアウィーヴはここ数年、寝具の開発とともに、睡眠の質に関する研究を推進してきました。

そこで気づいたのは、一般の方に睡眠を理解していただき、悩みを解決してもらうには、睡眠の質を可視化できるソフトをつくらなければならないということでした。パフォーマンスを考えて睡眠にこだわる特別なアスリートだけでなく、もっと多くの方に自分の睡眠を知り、上質な睡眠をとってもらいたいということです」

エアウィーヴは、自社の代名詞ともいえるマットレスパッド・マットレスとともに、驚異的なスピードでブランド力を高め、業績を伸ばしてきた。最近では、そのマットレスが世界最高峰のホテル、リッツ・パリで採用されるなど、勢いは止まるところを知らない。一方、商品開発と同様に力を注いできたのが睡眠研究だという。

「私は、エアウィーヴを寝具メーカーとは位置づけていないのです。“睡眠の質”を提供する会社として、2010年頃からグローバル展開を視野に入れて活動してきました。2011年からスタンフォード大学医学部 睡眠生体リズム研究所と共同研究を行い、2013年にはIMGアカデミーの協力も得て、睡眠と運動能力の研究に力を入れてきました。

いくら高価な寝具をつくっても、ユーザーの睡眠の質そのものが向上しなければ何の意味もありません。この研究の目的は、寮など同じ環境で生活する未来のトップアスリートにエアウィーヴと、異なる寝具を交互に使用してもらって、寝具の違いでパフォーマンスにどのような変化が生じるかのデータを集め、睡眠の質を多角的かつ医学的根拠をもとに分析することでした。

それまで一般的に行われていた睡眠研究の多くが病気の方が対象で、健康な人にはあまり参考になりませんでした。我々がスタンフォード大学医学部 睡眠生体リズム研究所、IMGアカデミーと行った研究は、その点では、大きな成果を上げました。

今年開催されたリオ2016オリンピック・パラリンピック競技大会では、JOC・JPCオフィシャル寝具パートナーとして、日本代表選手団に身長や体重、体型に応じた特殊なマットレスパッドを提供しました。また、各国のオリンピック委員会や競技団体と連携して海外の選手にも提供し、その数は約3,000人にものぼったのですが、このとき睡眠研究が大きく役立ったのは言うまでもありません。一流のアスリートのために蓄積したデータですが、それをより手軽にして一般の方にも利用していただきたいという発想から生まれたのが、この睡眠アプリです」

篠原洋 = 文

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