データの一つは米調査企業Strategy Analyticsが発表したもの。世界のスマホの出荷台数ベースで、アンドロイドは過去最大のシェア、87.5%を記録した。その一方、アップルのシェアは12%に縮小した。
もう一つは米金融サービスBMO Capital Marketのアナリスト、ティム・ロングが11月3日に発表した数値。アップルはシェアを減少させたに関わらず、利益ベースでは過去最大の営業利益を生んだ。今年第三四半期の実績値でアップルは、スマートフォン業界全体の利益の103%を獲得したというのだ。
これは、仮にアップルが100ドルの利益を出し、HTCが10ドルの損失を生んだとすると、スマホ業界全体の利益は90ドルになるという計算で算出された数値。LGやHTCらは、スマホで損失を出しており、このような計算でアップルの利益ベースのシェアは100%以上に及んだ。
BMOによると、1年前にはスマホ業界全体の利益に占める、アップルのシェアは90%で、当時のアンドロイドの出荷ベースのシェアは84.1%だった。
Strategy Analyticsのディレクター、ウッディー・オーは「アンドロイドメーカーのほとんどは利益を生んでいない」と述べている。「アンドロイドが市場を圧倒する一方、低価格の新興メーカーらの参入が相次ぎ、過度の競争状態に陥っている」という。
さらに、オーは「グーグルが新たに投入したPixelシリーズは、アンドロイド第一を掲げ、奮闘してきた彼らのパートナー企業ら自身を苦しめる結果をもたらす」とも述べた。
新興市場では利益を得られない
世界的に見てアンドロイドの優勢は明らかだ。しかし、アンドロイドメーカーらを取り巻く環境は厳しく、彼らのビジネスモデルが果たして持続可能なのか、という疑問も浮上している。
BMOのロングは、「利益ベースでアップルに次いで2位のサムスンは、業界全体の0.9%の利益しか生んでいない。Note 7のリコールに起因する損失により、サムスンは利益を大幅に減少させた」と指摘する。(BMOの試算では出荷台数ベースでサムスンは21.7% 、次いでアップルが13.2% 、ファーウェイが9.7%となっている)
世界のスマホ出荷台数は年間で6%の増加。第三四半期の出荷台数は3億4,500万台に及び、過去最大のペースで伸びている。しかし、増加分の大半はアジアやアフリカ、中東の新興市場からもたらされており、特にインドや南アフリカでの伸びが大きい。
こういった国々で安価なスマホを販売し、得られる利益はわずかなものだ。LGやHTCらは新興市場で大量の製品を販売しつつも、赤字を記録している。
LGは先日、同社のスマホ部門が7月から9月期に3億9,000万ドル(約402億円)の損失を出したと発表した。利益の減少は6期連続で続いている。HTCもまた、第三四半期の損失が6,300万ドル(約65億円)になったと発表している。