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2016.11.06

大統領選を前にアメリカの将来を楽観視できる6つの理由

ヒラリー・クリントン (Photo by Win McNamee/Getty Images)


第五に、下院は現在247対188で共和党が多数派を占めているので、今度の選挙で民主党が多数派になる可能性は低いが、共和党との議席差が縮まる可能性は高く、クリントンは法律を通しやすくなる。

第六に、クリントンは巨額のインフラ投資やエコ関連政策への投資、中低所得者層に対する減税と富裕層への増税、連邦最低賃金の15ドルへの引き上げ、低所得の家庭への大学の学費無料化、学生ローンの負担軽減、オバマケアの対象範囲拡大などを経済政策として掲げているが、これらを実現できれば、雇用創出、経済成長、格差是正が実現し、国民の経済的な恐れや懸念、不満が減ることになる。

さらに、連邦政府の機能改善、経済成長、アメリカが正しい方向に進んでいるとの実感により、国民の間に自信と楽観主義の空気が出てくる。そうなると、移民、貿易、国際投資を含むグローバル化に対して、よりオープンになるであろう。

92年の米国大統領選挙では、ビル・クリントン候補のスローガンは、「経済だよ、愚か者!」だった。有権者は当時の政権に不満だったので、第3党の候補であったロス・ペローが総投票数の19%も獲得した。ビル・クリントンは、93年に大統領就任後、「クリントノミクス」を追求し、その結果、失業率は30年ぶりに3.9%まで下がり、連邦予算赤字が解消され、アメリカはほぼ10年間史上最長の経済成長時代を迎えたのだった。

ヒラリー・クリントンは、この間にホワイト・ハウスで、この復活政策の実施を目の当たりにしてきた。もし、彼女が必要とすれば、ビル・クリントンが側でアドバイスすることも可能なのである。


グレン・S・フクシマ◎米国先端政策研究所(CAP)の上席研究員。米国通商代表部の日本・中国担当代表補代理、エアバス・ジャパンの社長、在日米国商工会議所会頭等を経て現職。米日カウンシルや日米協会の理事を務めるなど、日米関係に精通する。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.28 2016年11月号(2016/09/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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