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面白いのは、全てがフィクションであることがわかってからも、人々は面白がって、自分たちでゴルジェの原則にならってゴルジェの音楽を創り始めたことです。

なぜか?

「ゴルジェ」が、作り手自ら創り出したタグであるということが人々をより一層惹きつけたのです。かつ、ただタグを創り出しただけでなく、まるで本当の伝統ある音楽ジャンルであるかのようにストーリーの作り込みが巧みだったというのも熱狂の理由です。

ゴルジェをひとりで創り続けてきたというインド人DJの存在もフィクション。ゴルジェを生み出す上で影響を受けた音楽もフィクション、今ゴルジェに心酔している世界各地の人々の存在もフィクション、ゴルジェ音楽の4原則もフィクション。でも、そのフィクション全ての完成度の高さが、生まれたてのタグの正統性を担保しました。

「既存の大きなタグにカテゴライズされて埋もれるより、新たなタグを創り出してそのタグの中で第一人者になる方が早い!」と考えた人が今、実際に世界を面白くしています。

オンリーワンのタグを個々に追求していった結果、何が起きたか。考えてみれば当然ですが、タグの細分化がものすごいスピードで進んでいます。

美容誌には毎月、たくさんのメイクトレンドが言及されますが、その名前の細分化は圧巻です。「血色メイク」「おフェロメイク」「血にじみメイク」「火照りメイク」…ほぼ同じ色、質感のメイクでも、由来やルールが異なるだけでタグが様々。

また、「イガリメイク」「クボメイク」「河北メイク」など、トレンドのメイク手法にメーキャップアーティストの名字がつけられる流れも出てきました。

自分で創ったものが何にタグづけされるのか、正確に括れる大きなタグがなければ創ってしまえ!とニッチな世界を狙って開拓していく傾向が進み、細分化された世の中ができているのです。

この状況を加速させている背景は、私は「検索」ではないかと考えています。タグの種類が豊富であれば、それだけ流入経路を数多く持つことになり検索にひっかかりやすい。細分化の結果ひとつひとつの流入経路は細くても、そこに熱狂的なファンがついてくることも多くなっています。

大きな流れに埋もれるのではなく、気になるタグを創り、第一人者として新たな場を開拓する。

メディアでなくても、有名人でなくても、普通の一個人が「タグ」という「ひとこと」を考え出すことで自分の才能に光を当てられます。

自分の創ったものがまだ世の中に埋もれていたとしても、巧みなタグを創り出せば、世界中の人が目を留めてくれる今。

個人の才能が100%開花される世界を創るために、『「下剋上タグ」を自ら創り出す』という考え方を贈りたいと考えています。


電通総研Bチーム◎電通内でひっそりと活動を始めていたクリエイティブシンクタンク。「好奇心ファースト」を合言葉に、社内外の特任リサーチャー40人がそれぞれの得意分野を1人1ジャンル常にリサーチ。現在50のプロジェクトを支援している。平均年齢約35歳。

山田 茜◎電通総研Bチーム所属。「ビューティ」担当。電通入社以来、一貫して「女子」を追求する仕事が中心。自身のweddingをきっかけに、秘密のInstagramを創り、ウケるビジュアルコミュニケーションをこっそり実験中。

文=山田 茜

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