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2016.11.03

年収2千万円超えもザラ 「マジシャンという職業」の舞台裏

Fer Gregory / shutterstock

ニューヨークのマジックグッズ専門店「アブラカダブラ」の責任者のトリッキー・ヘンリーによると、200人以上の観衆の前でマジックを披露するマジシャンはごく一部だという。30年以上の歴史がある同店の顧客はストリートパフォーマーから、ヤンキースタジアムのステージで人間が消えるマジックを披露している者までいる。

「有名マジシャンと誕生日会に呼ばれるようなマジシャンが行うことは本質的には同じです。その違いは才能が日の目を見ているかどうかです」とヘンリーは語る。

マジシャンが最も秘密にしたいのは、おそらく意外にも高い収入だろうと語るのは、1万5000人(うちプロは2割)が加入している国際奇術師同盟の元代表であるショーン・ファーカーだ。

簡単に1000万円が稼げる

「ニューヨークやロサンゼルス、シカゴで企業向けイベントの依頼があるマジシャンは、簡単に10万ドル(約1,050万円)は稼げるでしょう」と言う。世界一稼いでいるマジシャンのデビッド・カッパーフィールドの年収6,400万ドル(約67億円)からすればわずかかもしれないが、10万ドルとは結構な額だ。

ファーカーは良い年で25万ドル(約2,620万円)を稼いでおり、仕事はアメリカやアジアが中心だ。カナダのブリティッシュコロンビア州にある自宅には“カードで出来た家”と書かれている。有名マジシャンのペン&テラーをカードのトリックで2回だました時は、“最低野郎”と全国ネットで言われた。

 “アメージング・マックス”ことマックス・ダーウィンも年間20万ドルを稼ぎ出している。ニューヨークを拠点としており、仕事は誕生日会や200人を前に毎週行っているショー、そして1,000人の観客を迎える全米ツアーなどだという。

「働き方は変わりました。若いころは年間300件のイベントをこなし、仕事に打ち込んでいましたが、成功すれば報酬が上がり、少ない時間で同じだけ稼げるようになります」

マンハッタンを拠点とするギャリー・フェラーは役者でありながら7~8年前からマジックを始めた。彼は少人数向けのイベントの方が好みだという。

「大きな会場ではパフォーマンスは一方通行で観客は見ているだけです。私は見ている人にも参加してもらっていますので、まったく同じショーはありません」とフェラーは言う。

企業向けのイベントでは時給700ドル~1,500ドル(約7万3,500円~15万7,500円)、子供向けのパーティーでは通常時給500ドル(約5万2,500円)ほどだ。もちろん誰が払うかによってその金額は変わる。

「10人でも資金力がある人であれば、かなりの高額を出してくれます。私はマイケル・ブルームバーグとロバート・デ・ニーロ、ラルフ・ローレンの前でマジックを披露したことがありますが、かなりの金額になりました」

もちろん誕生日会で見かけるマジシャン全員が年収10万ドル以上を稼いでいるわけではない。もっと年収が低い人が多く、マジシャンはサイドビジネスという人も少なくない。ファーカーはそういった人を“セミプロ”マジシャンと呼ぶが、週末のサイドビジネスとしてはおいしいという。「誕生日会の仕事をこなして趣味をお金に変えるべきだというのが私のアドバイスです」
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編集=上田裕資

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