キャリア・教育

2016.11.10 09:00

国際線で勝負する、ANAホールディングス「攻めの姿勢」の理由


また、米投資会社「WiL」とともに「新規ビジネスコンテスト」を開催し、その上位2チームは事業化に向けて進めている。これらはすぐに花が開くということはないが、将来を見据えた取り組みを、若手中心でやってもらいたい。

ーこうした「攻めの姿勢」を続けられる理由は。

社員向けの「中期経営計画」説明資料に、「私が入社以来、受け継いできたDNA」として歴代の社長の言葉を掲載した。若狭得治社長の「皆さん、アフリカや南米には飛ばさないんですか?」にはじまり、野村吉三郎社長の「安全第一、油断大敵、常在戦場」、大橋洋治社長の「事の外に立ち、事の内に屈せず」、伊東信一郎社長の「鍛えた翼は強い。自分の脚で立つ」など影響を受けた強い言葉を見てもらいたかった。

その理由は、「安泰だと思うな、常に変われ」という心掛けが必要だと思っているからだ。社長就任以降、変えたいと思っていることのひとつが「変わらないことがないようにすること」。

歴史を振り返ると、航空憲法と呼ばれた航空政策で国内運航に限定され、国際線に参入できても相手国との航空協定で希望路線に就航できない時代があった。当時の先輩方は「なんとかしてやろう」という“飢餓感”を持ちながら、その時々の困難の壁を突破してきた。この“飢餓感”を失わないことが重要になる。

「私が受け継いできたDNA」の最後に紹介した言葉は、小説からの引用で『下町ロケット』の佃社長の「挑戦の終わりは、新たな挑戦のはじまりだ」。変わり続けることで“挑戦”という我々のDNAを継承していきたい。


片野坂真哉(かたのざか・しんや)◎1955年、鹿児島県生まれ。79年に東京大学法学部卒業後、全日本空輸に入社。2009年にCS推進室・商品戦略室などの上席執行役員に就任。常務や専務を経て、13年からANAホールディングス副社長、15年4月から現職。

文=山本智之

この記事は 「Forbes JAPAN No.28 2016年11月号(2016/09/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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