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2016.11.01

実は赤字だったアマゾンミュージック 狙いはハード販売の強化説

Courtesy of Amazon

大手レーベルはストリーミングサービスの事業者らに月額利用料を9ドル99セントにするよう求めてきた。そんな中、アマゾンミュージックの月額利用料がプライム会員の場合、7ドル99セントと発表されたことは衝撃的だ。しかし、音楽情報サイトMusic Business Worldwideによると、これはレーベル側が折れたわけではなく、アマゾンが差額の2ドルを負担することになっているという。

アマゾンは7ドル99セントを支払うプライム会員1人につき、毎月5ドル50セント~6ドルをレーベルやアーティスト向けに、さらに1ドル50セントをパブリッシャーやソングライター向けに支払う。マーケティングや人件費などの経費を差し引くと、会員から集めた会費のほとんどが消えてしまう計算だ。

アマゾンが狙っているのは、ハードの売上向上のためソフトにおいては赤字覚悟のサービスを展開するアップルのような戦略なのかもしれない。スマートスピーカーのエコー(Echo)やドット(Dot)の売れ行きは上々のようだが、アマゾンは今後さらにハードを発表する可能性が十分ある。これまで多くの企業が赤字覚悟のコンテンツサービスでハードの魅力を伝えて販売を促進する方法をとってきた。これは主にモバイルの世界で行われてきた試みだが、大きく成功したのはアップルぐらいだ。

アマゾンは自腹を切ってでも月額利用料を下げることで、プライム会員の増加を狙っているのかもしれない。プライムの会員数は公式には発表されていないが、関係者によると6,000万人とのことだ。その各人が年間99ドル(米国の場合)を支払っていることを考えれば、会員を増やすことは重要だと言える。しかし、誰もが「このサービスはお得だから、年間99ドル払ってでも利用しよう」と思うかというと、そう考えるのは甘いだろう。

アマゾンミュージックの価格設定の裏には、ハードウェアの販売数を増やしたいという考えがあるのだろう。どんなサービスでも立ち上げ時は素晴らしく見えるものだ。どの程度の実績をあげられるかは、来年の第一四半期の決算で明らかになる。

編集=上田裕資

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