候補らの選挙公約が虚しく響く一方、60%の米国人が上院と下院の意味を知らず、55%の人々がGOP(共和党のニックネーム)をガバメント・オブ・ザ・ピープルなどと勘違いしている。
今回の選挙でドナルド・トランプが勝利するかどうかはさておき、彼のビジネスでの経験が評価され、思わぬ支持を集めたことは特筆に値する。トランプは数十年にわたり、実業の分野でリアルな困難に直面してきた。対立候補のヒラリーが長年、政治闘争やウォールストリートのインサイダーとの付き合いに明け暮れてきたのとは対照的だ。
トランプは資産家の二代目で、さほどの苦労も積んでいないとの批判もある。しかし、トランプタワーに象徴される彼の富の強大さは誰が見ても明らかだ。トランプは防弾仕様の分厚いガラス窓の向こうで、現実世界と向き合ってきた。それは、契約書にサインをすれば物事が前に進むリアルな世界だ。全てが秘密裏に運ばれ、いつの間にか法案も無効化されている政治の世界とは別物だ。
ヒラリー・クリントンが大統領になる可能性もあるが、トランプにもそのチャンスはある。しかし、ここで筆者が思うのは、トランプが米国の未来にとって重大な前例を作ったことだ。それは、マーク・ザッカーバーグが米国大統領になる可能性を示すものだ。
40歳の米国大統領、誕生の可能性
2024年にザッカーバーグは40歳になる。これは1901年に42歳で米国大統領になったセオドア・ルーズベルトよりも2歳若い年齢だ。彼が運営するフェイスブックの利用者数は世界10億人にのぼり、3億2,400万人の米国人が利用している。
ザッカーバーグは特にミレニアル世代から強く支持されている。2024年にこの世代は大きな票田を形成する。資産額が現在、446億ドル(約5兆円)の彼は世界で6番目に裕福な人物であり、選挙資金も潤沢だ。
ザッカーバーグのこれまでの歩みは、インターネットを通じ人々をつなげていくことだった。今年9月には妻のプリシラと「チャン・ザッカーバーグ・イニシアティブ」を設立。30億ドルを投じ、全ての疾病を2100年までに根絶しようとしている。また、太陽光のソーラー・ドローンで発展途上国にインターネット環境を届けるプロジェクトも進めている。アフリカでは教育関連の投資も行なっている。