LSEには大企業が上場する「メイン市場」と新興企業が上場する「AIM市場」がある。英資産運用会社ヘンダーソン・グローバル・インベスターズ傘下のヘンダーソン・インベストメント・トラストが発表した調査結果によると、今年上半期に両市場上場した企業は合わせて32社だった。前年同期比で14%減少している。
ヘンダーソンは、欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国の国民投票が大きく影響したとの見方を示している。特に打撃を受けたのはメイン市場で、同期のIPOはわずか8社にとどまった。市場の不安定性と今年6月23日に実施された国民投票の結果への不安感が企業の上場意欲を減退させ、メイン市場へのIPOは同月、完全に停滞した状態になったという。
一方、6月に発足から21年を迎えたAIM市場では、上半期の上場件数が24社となった。同市場に上場する企業の時価総額はメイン市場に比べれば少ないが(大抵は8分の1程度)、今年は年初からこれまでに前年同期比47%増の合計23億ポンドを記録した。ヘンダーソンはこれについて、投資家にとっては明るい材料だと指摘している。
ただし、「去年は堅調な国内経済に加えて株式市場が金融危機以来の高値を記録する中で、上半期にLSEに上場した企業の時価総額が合計50億ポンドに達した。それに比べれば、今年は圧倒的に活気に欠ける」という。
また、同じヘンダーソン・グループのヘンダーソン・オポチュニティーズ・トラストのコリン・ヒューズは、「EUからの離脱決定は企業の上場意欲を著しく減退させた。市況がある程度の落ち着きと取り戻した現在も、IPOの停滞は続いている」「国民投票の前以上にIPO市場が冷え込んでいることには、驚いている。恐らく、予想外の“離脱”の結果を反映しているのだろう」と話す。