本物の神戸ビーフは、兵庫県で生産されている。米国では2000年以降、2度にわたり日本産牛肉の輸入が全面的に禁止されており、同期間の大部分で、神戸ビーフなど日本産牛肉の使用をうたうメニューの100%が虚偽表記という状況にあった。
現在は禁輸措置が解除され、本物の神戸ビーフを味わえるレストランは以前よりも増えている。とはいえ、どこでも食べられるわけではない。私が新書「Real Food, Fake Food(本物の食べ物、偽物の食べ物)」を書き終えた昨年末の時点で、本物の神戸ビーフを提供していたレストランは全米でたった3軒だった。
米国では今、ちょっとした和牛ブームが起きており、神戸ビーフ提供店の数はそれから現在までに3倍以上に増加したが、それでも両手で数えられるほどだ。7月にはヒューストンで全米9番目の提供店「B&Bブッチャー」がオープン。サンフランシスコでも間もなく、新たな提供店「アーセナル」が開店する予定だ。
神戸ビーフはなぜこれほどまでに希少なのか。その理由にはまず、厳格な認定基準により全世界の年間流通量が3,000~4,000頭にとどまっている現状がある。うち9割が日本国内で流通し、残りの多くはモナコや香港、シンガポールに輸出される。全世界に流通する神戸ビーフの量は多くても1,300トン余りで、うち米国に輸出されるのは約2,300キロ以下だ。
米国は、国内で膨大な量の肉牛を生産・消費している上に、年間130万トンもの牛肉を輸入している。神戸ビーフはその希少さゆえに、本物を販売・提供するレストランやホテルの全リストが神戸肉流通推進協議会のウェブサイト上で公開されている。