アリババが600億円注ぐ中国スマホメーカー「魅族」の異色の経歴

m2 note (Credit: Meizu)


課題は販売チャネルの構築

Meizuのデザインは高く評価されている。マーケティング会社Beeepの設立者ニック・シューは、「中国の消費者は一般的に、Meizuを良いブランドだと考えているが、販売面では課題がある」と指摘した。

スマホメーカーにとって、オンライン販売で利益を得ることは以前に比べ難しくなっている。シューは急成長を遂げたOppoとGioneeの例を引き合いに出し、「Meizuもオフラインの販売チャネルを伸ばさなければならない」と語った。

Meizuもその点を認識している。イックマンズは「オンラインでの購入者は技術に詳しく、コストパフォーマンスに妥協しない」と分析する。つまり、オンライン主体でスマホを売る会社は、利幅の圧縮を余儀なくされる。Meizuは4,000人以上のスタッフを雇い、中国のほか東南アジア、ヨーロッパなど世界で約2,000店舗を展開する。店舗数は今後も拡大する計画だ。

国際ブランドとしての躍進へ

Meizuは米国には進出していないが、リーとウォンは数年前に参入の意欲を言明している。ただしボーデリングは、「我々は前進を続けているが、米国は独特で複雑な市場だ」と語り、進出にはなお時間を要するとの見方を示した。

進出が遅れている理由には、米国の厳しい規制や、通信会社の力が強いことがある。Meizuは今年、米国のクラウドファンディングで資金を集め、スピーカー製品Meizu Gravityを売り出した。また、安さを魅力に感じ、Meizuのスマホを輸入する米国人もいる。一方で、イックマンズは「Meizuは途上国では足場ができつつある。特にウクライナでは10%近いマーケットシェアを獲得した」と強調した。

「私たちは海外にスマホを出荷するだけでなく、マーケットごとに強力なパートナーと協力し、顧客に十分なサポートを提供できる体制を整えたい」(イックマンズ)

Meizuは今のところ、スマホで利益を出せている。高品質のスマホを低価格で販売していることを考えると、それは驚きに値する。アリババの支援を得られたことも、Meizuがビジョンを実現するための大きな助けとなるだろう。

Meizuの幹部は、ライバルとの差別化を打ち出し、競争力のある価格で高品質な製品を生み出すビジョンを語る。新製品のM3 Maxは筆者から見て、そのビジョンを体現していると思える。リーは語った。

「私はMeizuを単なる中国のハードウェア企業ではなく、強力な国際ブランドに育てたい」

編集=上田裕資

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