感謝祭当日の店舗を営業するというトレンドは4年前に高まりを見せたが、これはオンラインショッピング(EC)の脅威に対する過剰反応だった。多くの小売業者やショッピングモールの運営会社が、「オンライン店舗が感謝祭当日に営業しているのだから、競争力を維持するためには自分たちも営業しなければ」と考えたのだ。しかし、一日多く営業するには、電気代や給与などそれなりのコストがかかる上、その分の売上を上げることは簡単なことではない。
また最近では、ECはかつてほど脅威とは受け止められていない。各社のオムニチャネル戦略は進化を続けているが、オンラインでの売上は全体売上の10%未満であり、ECによる市場シェアの浸食ペースは減速している。
さらに経営コンサルティング会社A.T.カーニーの報告によれば、オンライン売上の50%以上は、実店舗を持つ小売業者が占めている。オンラインのみの各小売業者と、同じ方法で競う必要性は減っているのだ。実際、多くの小売業者は、感謝祭当日にどうしても買い物をしたい消費者に対し、オンラインで買い物をして週末に実店舗で受け取るようにすることを勧めており、年々このシステムの人気が高まりつつある。
CBLとモール・オブ・アメリカによる今回の休業発表がドミノ効果を生み、そのほかのショッピングモール運営会社や大規模小売業者も、休業の決断をするのだろうか? それには、市場特性や顧客の属性が各企業の判断に大きな影響を及ぼすことになるだろうと筆者は考える。
感謝祭当日に休業する店舗が増えることで、ブラックフライデーが再び「ブラック(黒字)」に戻るかどうかは、まだ分からない。はっきりしているのは、個々の小売業者や運営会社は今後も引き続き、自社のポートフォリオや顧客にとって何が一番理にかなっているのかに基づいて判断を下していくだろうということだ。そもそも、そうあるべきなのだ。