モール・オブ・アメリカの場合は、ショッピングモールに入居しつつも独自のエントランスを持つ店舗は休業か否かを選択できるが、CBLの場合は、その主要入居者である百貨店のディラーズ(Dillard’s)を含めモールに属する店舗全てが休業となる。
この決定について、CBLのスティーブン・レボビッツCEOは「感謝祭の日に従業員を休ませ、家族と一緒に過ごせるようにしたかった。それに当社の主要顧客や市場を考えると、休業にするのが最も筋が通っている。出店者や顧客に支持をいただいての決断だった」と説明した。
感謝祭当日に営業することが、翌日のブラックフライデー(クリスマス商戦初日)の売上に悪影響を及ぼすことを示唆する事例や経験的証拠は十分にある。だから営業せずに、感謝祭当日は従業員が家族と過ごせるようにするのは賢明な判断だ。
ブラックフライデーはかつて、「一年で最も忙しいお買い物デー」との異名をとっていたが、今ではその勢いを失いつつある。長く小売ビジネスに携わっている人間に言わせれば、クリスマス商戦で最も忙しいのはスーパーサタデー(クリスマス直前の土曜日)なのだ。
とはいえ、ブラックフライデーの不振については、感謝祭当日の店舗営業が大きな要因だとされている。従業員の負担に見合った金銭的利益も生まれていないことから、小売各社に利益以上に損失をもたらしている。その結果ますます多くの小売業者が感謝祭当日の休
業を決めており、アウトドア用品大手のREIにいたっては、ブラックフライデーも営業しないという決定を下している。
「当社の小売パートナー各社の意識が、この1年だけでも大きく変わった」とレボビッツは言う。「開店時間が毎年数時間ずつ早められるなど、感謝祭の商戦が過熱しすぎていると考える層が増えてきているようだ」