――従業員の子供が大学に通う学費を会社が支払うと発表しましたが、その制度を導入した背景を教えて下さい。
倉庫に行くたびに、私の両親が経験した苦労を思い出します。作業員の多くは、車を買うこともできないのです。CEOによっては、「それが資本主義というものだ」と冷たく突き放すかもしれませんが、私の考えは違います。私自身が教育によって貧困から抜け出すことができたので、社員の子供たちにも良い教育の機会を提供したいと思ったのです。私が保有するBoxedの株式の約50%をこの財源に充てます。私はニュージャージーからきた平凡な男です。会社が成功すれば、私の持つ株式の90%を明け渡しても生活をするには十分なお金が残ります。
――社員には、そのことを説明しましたか。
はい。部屋に全員を集め、「我々はチームだ。このビジネスを成功させて、皆で果実を分かち合おう」と話をしました。中には涙を流す社員もいました。正社員の子供は全員が学資支援の対象となり、私大だろうが国公立だろうが関係なく会社が学費を全て負担します。金額に上限はありません。ただ、住宅費は対象外となります。
――現在の従業員数を教えて下さい。
400人ほどで、フルタイムの社員は150人を超えたところです。
――Boxedのユーザーはミレニアル世代が多いですか。
25歳から44歳のユーザーが81%を占めます。他の会員制ディスカウントショップのユーザーの多くがベビーブーム世代やシニア層であることを考えると、競合とは全く異なる客層であると言えます。
――一番の売れ筋は何ですか。
トイレットペーパーとペーパータオルです。
――今のBoxedの評価額はいくらですか。
まだ10億ドルには達していません。上場前の評価額を気にするのは創業者のエゴ以外何物でもないので、私は全くこだわっていません。ただし、IPOはぜひ目標にしたいと思います。ある投資家から、「2020年までに売上規模が数十億ドルに達していなければダメだ」と言われ、やる気が一層高まりました。
――フアンさんの両親は、あなたの成功を見て何と言っていますか。
親はいつまでたっても親です。母親は今でも時々「いつになったら本当の職に就くつもりなの」と聞いてきます。