好調な輸出を背景に、ベトナムの今年のGDP成長率が6%を超えると予測する人々は、サムスンの一連の問題の影響が避けられないとしても、それほど深刻な状況にはならないと考えている。
ベトナム工場が担っているのは組み立て作業に過ぎず、また、Note7以外のデバイスも生産している。そして労働者が解雇されても容易に再就職できると、アナリストたちは指摘する。
廉価な労働力、手厚い投資支援策、そして主要国との関税引き下げ協定などによって、ベトナムは2010年以降、製造業の輸出拠点として中国と肩を並べるようになった。
サムスンはベトナムでの工場建設に120億ドル(約1兆2,400億円)を投じると約束し、ベトナムから出荷されるスマホの5分の1はサムスン製品だ。しかし、ハノイのSSI リサーチは「ベトナムでは、Galaxy S7やGalaxy S7 Edgeなど他のフラッグシップモデルも生産しており、Note7の悪影響は中和されるだろう」と分析する。
SSI リサーチは、Note7の生産停止によって、来年3月までのベトナムの輸出額は0.6%、9億2,400ドル(約958億円)減少すると予測している。
ベトナムはサムスンのスマホの組み立てに特化している。Note7の発火は設計上の問題であり、ベトナムの評判が傷つくことはないという。
ハノイのMekong Economicsのチーフエコノミスト、アダム・マッカーティーは「一つの会社の一製品にすぎないNote7が、製造業の直接投資先として最も魅力的な国というベトナムの評価を揺らがせることはない」と語った。
ニュースサイトVietnamAdvisorsの創業者、ルーイ・グエンは「サムスンに鍛えられた従業員たちはそのノウハウを他の企業で活かすことになる。その技術移転は、ベトナムの製造業のエコシステムに長期的な影響を与えるだろう」と述べた。