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2016.10.21 16:30

ボードゲームからレコードまで 「アナログでくつろぐ『アナろぐ』」レポート

[左から]倉成英俊(電通 電通総研Bチーム代表)、木村年秀/DJ MOODMAN(電通 クリエーティブディレクター)、田中 誠/タナカマ(テンデイズゲームズ店長)、藤吉雅春(Forbes JAPAN副編集長)

[左から]倉成英俊(電通 電通総研Bチーム代表)、木村年秀/DJ MOODMAN(電通 クリエーティブディレクター)、田中 誠/タナカマ(テンデイズゲームズ店長)、藤吉雅春(Forbes JAPAN副編集長)

飛ぶように売れるとはまさにこのこと・・・。

アカデミーヒルズで開催された「電通総研×Forbes JAPAN×アカデミーヒルズ ライブラリー」の共催イベントが終わるや、会場に販売用として用意されたバラエティに富んだボードゲームを大勢の方が買い求めていた。

参加者を魅了したトークイベントについて報告しましょう。今回で第3回となるコラボレーション・イベントのテーマは「アナろぐ」。アナログでくつろぐから「アナろぐ」です。

電通総研Bチームは、「好奇心ファースト」を合言葉に、社内外の特任リサーチャー25人がそれぞれの得意分野を1人1ジャンル常にリサーチし、各種プロジェクトを支援している電通総研内のクリエイティブシンクタンク。

その電通総研Bチームのプロジェクトから生まれたコンセプトを、Forbes JAPANでは連載「電通総研BチームのNEW CONCEPT 採集」として毎号一つずつ紹介。このリアルイベントはその番外編として、電通総研、Forbes JAPAN、アカデミーヒルズライブラリーのコラボレーションで開催されています。

「アナろぐ」は、2016年1月号で紹介されたコンセプト。イベントでは、「アナろぐ」というコンセプトの生みの親、電通のクリエイティブディレクターで電通総研BチームのMusic担当リサーチャー、そしてMOODMANの名で活躍するDJでもある木村年秀氏が、アナログゲーム店「テンデイズゲームズ」を営むタナカマこと田中誠氏とともにゲストとして登壇しました。

DJ MOODMANの“アナログ”観

今や、音楽の愉しみ方はダウンロードからストリーミングへと変わり、「音楽を所有する」というかつての概念自体が消えつつあるという状況の中、どういうわけか究極のフィジカルコンテンツであるアナログレコードのみが市場を拡大しています。

また、世界中でポケモンGOをはじめ、VRやARを駆使したテクノロジーゲームが話題沸騰の一方、アナログゲームの祭典「ゲームマーケット」の来場者は、2000年の第1回開催の400名から、16年春には11,000名へと3倍近くに拡大するなど、アナログゲームプレイヤーも確実に増加しています。

世界を見ても、30年以上の歴史のあるドイツのアナログゲームの祭典、通称「エッセンシュピール」の来場者数は16万人を超える増加傾向。こんな不思議なアナログ現象をどうみるか-。

DJ MOODMANは、曲をかける際にはアナログとデジタルの両方の音源を使うと言います。デジタルは「情報として」頭に入り、アナログは「作品として」入ってくるというように、音の違いだけなくその存在感の違いに面白さを感じての使い分けだそう。

デジタルな生活は便利ではあるけれど、週末にPCを開くのをやめてみたり、SNSをスルーしてみたりして「アナろぐ」ことにより、デジタルに浸ったアタマの違うトコロが刺激され、新しい切り口が見つかったりするのだとか。

アナログなボードゲーム人気

タナカマさんは、今のゲームシーンを読み解く10タイトルとして、10種類の話題のボードゲームを紹介。日本発で世界的に大ブレイクしたゲームやクラウドファンディングから生まれたゲーム、1回しか遊べないプレミアムゲームなど様々です。

具体的には、蔓延する病原菌の特効薬を開発して世界を救うためプレイヤー全員で協力して達成する「パンデミック」や、一枚の絵札に対する“親の言葉”を頼りにプレイヤーがその一枚を当てる「Dixit」など、いずれも勝ち負けを競うのではなく、会話を楽しんだり協力しあうなど、コミュニケーションを促進するゲームであるというのが人気の理由と言えそうです。
 
タナカマさんにとっての「アナログ」の魅力は、デジタルゲームは最後までやって高得点を出すことが基本の楽しみ方である一方、アナログゲームは“やっていること自体”が面白く、また、同じゲームでも誰とやるかによって全く違う面白さになったりという、ちょっと「懐が深いところ」だと言います。

企業でもアナログ活用

これらのアナログゲームは、静かなブームとなり仲間同士で楽しむ人たちが増えているというほかにも、人事担当を中心に企業での活用も広がっているよう。

例えば、従業員研修時のアイスブレイクとしてアナログゲーム実施して参加者の緊張感を解くこともあれば、交渉力を鍛えたり、チームワークの向上を図る研修そのものとして活用されることも。さらには採用の現場でもゲームを実施し、取った行動を採用判断の一つとする企業もあるなど、社会現象にもなっていると言います。

タナカマさんの怒涛のような10タイトル紹介がセミナーの時間の大半を占め、DJ MOODMANさんの音楽話がもっと聞きたかった! という感想もあったものの、熱意のこもったタイトル紹介にすっかり魅了され、「やってみたい!」と気持ちをかきたてられた参加者は多く、セミナー終了後のゲーム販売コーナーは人だかりに。

アナログゲームやアナログレコードは、タイムリーに経験してきた世代ですが、こうやって改めて知ってみると、確かに新鮮であり、すでにデジタルに慣れてしまった今だからこそ魅せられるということもあるのかなと思いました。先述の本場ドイツの「エッセンシュピール」をちょっとのぞいてみたい気持ちにもなるセミナーでした!

【スピーカー】
木村 年秀/DJ MOODMAN(電通 クリエーティブディレクター)
田中 誠/タナカマ(テンデイズゲームズ店長)
藤吉 雅春(Forbes JAPAN副編集長兼シニアライター)
倉成 英俊(電通 電通総研Bチーム代表)

文=フォーブス ジャパン編集部

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