創業2年のCloud9のアプリは、セキュリティも万全でコンプライアンスに沿った通信環境を提供する。同社のシステムはビリオネアのスティーブ・コーエンが運営するヘッジファンド「ポイント72アセット・マネジメント」でも導入された。
コーエンは傘下のポイント72ベンチャーズからCloud9に出資し、この製品をアジアやヨーロッパ地域のオフィスに導入しようとしている。Cloud9はJPモルガン主導の調達ラウンドで3,000万ドル(約31億円)を調達し、バークレイやICAPもここに加わった。
Cloud9でCEOを務めるジェリー・スターは「これらの企業が出資したことは、弊社の製品がセキュリティ的にも優れたデバイスであることの証です」と述べている。「最終的には大手銀行でも利用されることがゴールです」とスターは語った。
Cloud9が実現を望むのは、フレキシブルなトレード環境を構築し、従業員がどこに居ても働けるようにすることだ。JPモルガンは導入にあたり40回のテストを実施した後、外部オフィスにCloud9を実装した。これにより、たとえ大地震に襲われたとしても、電源とネット環境が確保できればリモートでトレードを続行することが可能になる。
元JPモルガン取締役でポイント72ベンチャーズの共同代表を務めるピート・カセラは「金融業界のコミュニケーションではここ数十年の間、真のイノベーションが起きていませんでした」と語る。「Cloud9はトレーディング分野のコミュニケーションの構造的、技術的問題を劇的に改善します」
Cloud9を用いればトレードの履歴管理がコンプライアンスに沿った形で可能になり、「電話に縛り付けられた業務スタイルから開放される」とCEOのスターは強調する。
「オフィスから電話を取り除くことで、スペースを有効に利用できます。安全なネット環境さえあれば仕事は出来るのです」とスターは述べた。