小売業に関する複数の調査によると、2016年の年末商戦で買い物客たちは、かつてないほど「フィジタル」になりそうだ。「インターネットで購入し、実店舗で受け取る」という買い方を選ぶ人が増える中、こうした買い物の仕方は一つの転換点を迎えようとしている。
デロイト米国で小売・流通部門担当するロッド・サイズ副会長は、「注目すべきトレンドは、オンラインとモバイル、店舗というチャンネルが相互に影響を及ぼし合っているということだ」と語る。デロイトは、今年の年末商戦の売上高を前年比3.6~4%増と見込んでおり、これは全米小売業協会が予想する同3.6%増とほぼ一致する見方となっている。
デロイトによると、年末のホリデーシーズン中に見込まれる実店舗の売上高のうち、67%(6,610億ドル、約68兆8,250億円)はネットを利用した購入になる見通し。この数字は、PC(デスクトップとラップトップ)、タブレット端末、スマートフォンを含むデジタル機器を利用して購入し、実店舗で受け取る買い物客の影響を反映している。
3割超は「クリック&コレクト」を利用
国際ショッピングセンター協会(ICSC)の調べによると、ネットで注文して店舗で受け取る「クリック&コレクト」サービスを利用する買い物客は、昨年の32%を上回る39%になる見通し。また、このサービスの利用者のうち83%は、商品を受け取るために店舗に出向いた際に、その場で新たに買い物をする予定だという。こうした客がさらに衝動買いをする可能性もあり、小売業者にとっては朗報だ。
最強はアマゾン
米ネット通販最大手のアマゾンは、その支配をさらに強めている。調査会社ブルームリーチ(BloomReach)によれば、年末にプレゼントをアマゾンで購入する予定だと回答した消費者は、94%に上った。そして、すでに欲しい物が決まっている人の59%は、まずアマゾンのサイトから、その商品を探し始めると答えている。