ソフトバンクらが136億円注ぐ「バイオテク企業」Zymergenの全貌

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Zymergenが公にできる数少ない顧客がDARPAだ。DARPAは、橋や戦闘機などの鉄部塗装における耐久性を高めたり、ウェアラブルデバイスの開発に必要なポリイミド薄膜を製造するために、Zymergen に360種類もの新たな微粒子の開発を依頼している。「これまでにない素材を開発する上で我々のテクノロジーは大いなる可能性を秘めている」とホフマンは話す。

Zymergenは2015年6月に4,400万ドル(約46億円)を調達して以来、社員数は50人から200人に急増し、売上高も4倍に増えて数億ドル規模に達するとみられる。Zymergen の取締役を務めるData Collectiveのオッコによると、顧客数も4倍以上に増加したという。

オッコは、Zymergenへの投資はベンチャーキャピリストとして一度経験できるかどうかというくらいの勝利だという。Data Collectiveが自社のリミテッドパートナーに投資の運用成績を報告した際、普段は寡黙な彼らがZymergenの成長性を知った途端に興奮しだし、同社の企業価値が低すぎるとオッコを攻めたてたという。

今回のZymergenの調達額はシリーズBとしては異例の規模だ。特に同社は2013年に創業されたばかりであり、成長性の高いスタートアップでも通常はもっと遅いラウンドで到達する額だ。Zymergenは、生産体制の強化を図ったり、災害対策のために異なる地震帯に新施設を建設することに資金を充てる予定だという。

「我々のボトルネックは生産キャパシティであり、需要はいくらでもある」とホフマンは言う。今後は、既存の技術を新たなセクターに応用し、これまでと異なる素材の開発に取り組む予定だという。「我々は野心的な目標を掲げながら、ビジネスの結果に対しては謙虚な姿勢で臨みたい」とホフマンは話す。

編集=上田裕資

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