ビジネス

2016.10.21

「社外人材」が変革エンジン! コニカミノルタの新規事業創造

(左)BIC JAPANの秋山博(中央)執行役の市村雄二(右)BIC JAPANの波木井卓(photographs by Masafumi Maruyama)


BICの設立から3年目を迎え、5極のリーダーが集まる「BICサミット」を定期的に開催するなど、世界的な連携も強化している。機動力のあるBICの動きは、ともすると内向きになりがちだった社内にも刺激を与え始めているようで、「デザインワークショップ」や「イノベーションウィーク」などの名目で外部の専門家を交えた社内勉強会を開くと、毎回、定員を超える応募者が集まるようにもなってきた。

最近は、他部署から「BICに異動したい」という声も出てきているという。市村・波木井両名は「今後はそうした社内人財との交流も深めながら、グループ全体を技術中心から顧客中心のイノベーティブな組織へと変えていきたい」と意気込みを語る。コニカミノルタに誕生した“別エンジン”は世界各地で医療やロボットなどの先端分野で活躍し始めており、小さいながらも、組織全体を巻き込みながら前へ向かって走らせる原動力へと変わりつつある。

COMMENT〜

コニカミノルタの特徴は 1. 最初からグローバルにイノベーション活動を展開したこと、2. 社外人材を重要ポストに配置し、スピード感のある意思決定と施策実行をしたこと、3. 事業や人事の評価基準をイノベーション軸に変更し、事業開発を支える仕組みを整備したことー。多くの日本企業がイノベーションを興し続ける組織への変革を図る上で、参考になる取り組みだ。(「イノベーション100委員会」事務局 一般社団法人Japan Innovation Network)

BUSINESS INNOVATION CENTER/Business Innovation Center(BIC)は、コニカミノルタの成長戦略の中核を担う組織として、地域・市場のニーズに即した新規ビジネスを開発・提供するため、世界5拠点に設立。顧客ニーズを深く理解し、サービスへと進化させ、人々の生活やビジネスに役立つ新しい事業創造を目指す。

HANA(ハナ/日本初、ニオイの”見える化”標準プラットホーム。オープンイノベーションの一貫として産学連携スキームで開発。第一弾のサービス提供に向けて、一般消費者向けにポケットタイプの体臭測定デバイスと測定結果を確認できるスマートフォンアプリを開発中。

MIMI(ミミ/医療機関向けコミュニケーション支援サービス。増加中の訪日外国人の急病などに伴う、医療現場のコミュニケーションの不安をなくし、安心して医療を受けたい外国人患者としっかり受け入れたい医療機関をICTとデバイスでつなぐサービスを開発中。


秋山 博◎BIC JAPAN 大学卒業後、大手半導体メーカーに入社。入社以来、一貫して半導体のソリューション業務に従事。映像・音声処理用の大規模SoC製品を中心に、数多くの新製品立ち上げに携わる。顧客課題をIoT要素で解決する新規ビジネスを実現するため、コニカミノルタに入社。

市村雄二◎執行役 大手グローバルIT企業にてグローバルに事業会社の統廃合やスタートアップを含めた新規事業立ち上げ、事業運営等を行った。コニカミノルタでは、情報機器部門でITサービス事業の強化を担当。現在は事業開発本部長としてコニカミノルタの次の柱となる事業の構築を行っている。

波木井 卓◎BIC JAPAN所長 大学卒業後、外資コンサルティング会社に入社。退職後、ネットベンチャーを起業し、バイアウト。その後、新規事業、M&Aなどをアドバイスする会社を起業、ベンチャー企業の社外取締役を歴任。大企業からイノベーションを起こすことに挑戦するため、コニカミノルタに入社。

曲沼美恵 = 文

この記事は 「Forbes JAPAN No.27 2016年10月号(2016/08/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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