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2016.10.12 12:30

ネットフリックス流「データ至上主義」経営 190か国の視聴傾向を分析中

リード・ヘイスティングスCEO photo by Ethan Miller / gettyimages

リード・ヘイスティングスCEO photo by Ethan Miller / gettyimages

ネットフリックスは今や190か国で事業を展開。8,300万人のユーザーを誇り、多種多様な言語で放送されている映画やテレビ番組は毎日1億2,500万時間以上も再生されている。2016年に入ってからすでに30以上の新シリーズや続編をリリースしており、20本以上のオリジナルの映画やドキュメンタリー、30以上の子供向けのオリジナルシリーズのほか、幅広いスタンドアップ・コメディーのスペシャルも放映している。

同社の広報は「定期的にデータを分析して新たな視聴傾向を探り、新しい視聴の在り方を明らかにしています」とし、6大陸で放映されている30シリーズを対象に「視聴者がハマったエピソード(hooked episode)」を調査していることを明らかにした。視聴者の70%がシーズン1の全エピソードを視聴するきっかけとなったエピソードを国別に調査し、最終的には全世界での平均をとっているという。

ネットフリックスによると視聴傾向は全世界で共通しているという。それがアルゼンチンであれ、日本であれ、視聴者らは同じようなエピソードでそのシリーズにハマり、同じようなストーリーに共感を持つ人が多いという。

最近ヒットしたのが超常現象系スリラー「ストレンジャー・シングス 未知の世界」だ。視聴者はシーズン1のエピソード2「メープル通りの変わり者」でハマったようだ。「アメリカン・ホラー・ストーリー」ではシーズン1の第4話「恐怖のハロウィーン 前編」が視聴者の心をとらえた。

アメリカ大統領選挙が佳境を迎えている今、「ナルコス」や「マルセイユ」といった汚職を描いたドラマも人気で、それぞれエピソード3までには視聴者を釘づけにしていた。きっかけとなるエピソードは人が死ぬなどダークなものだけではなく、恋愛ドラマの「ギルモア・ガールズ」や「ジェーン・ザ・ヴァージン」にも視聴者がハマるきっかけとなったエピソードがあった。

世界戦略を支えるデータ解析

ネットフリックスが世界でこういった調査を行っているのは、新たな国への進出を進めていくためだ。同社は最近ポーランドに進出を果たした。コンテンツの80%がポーランド語の吹替え版か字幕版で、同国のテレビ番組や映画も放映する。さらに同国で初めてのパートナーとなるモバイルプロバイダーのT-Mobileと提携し、今後T-Mobileのアカウントでネットフリックスの利用料を支払うことができるようにする。

ネットフリックスの共同創業者でCEOのリード・ヘイスティングスは「ポーランド国内のテレビ番組や映画だけでなく、世界中のコンテンツを増やしていくことにより、ポーランドに合った内容にしていけることを楽しみにしています」と語った。

ネットフリックスはグローバル戦略の一環として今後も調査を続けるという。同社でオリジナルコンテンツを担当するシンディ・ホランド(Cindy Holland)副社長は「素晴らしいストーリーには普遍性があると私たちは考えてきました。今やインターネットによりそういったストーリーを世界中の視聴者と分かち合うことができますが、それを分析すると、視聴者が見て感じることがいかに似ているかが分かります。私たちはフランスの政治ドラマであれブロンクスのミュージカルドラマであれ、様々なストーリーを視聴者に届けたいと思っています」と語った。

編集=上田裕資

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