売上高の多い米国の企業上位1,000社、「フォーチュン1000」に入る各社のウェブサイトを調査したところ、役員に占める女性の割合はほぼ全ての業種で、わずかな比率にとどまっている。幹部職全体では18.4%、最高経営責任者(CEO)では6.9%、取締役会長では6.7%だった。
一方、これらに比べ、最高法務責任者(CLO)と最高法令順守責任者(CCO)、最高マーケティング責任者(CMO)ではそれぞれ31.9%、36.4%、48.0%と、女性の比率が高くなっていることが確認された。特に、最高人事責任者(CHO)は62.2%と、女性が過半数を占めている。
ただ、男女平等に関する企業の取り組みについては明るいニュースもある。企業報酬の調査を行なう米エクイラー(Equilar)のまとめによると、S&P500指数の構成企業では女性役員の比率が上昇。2012年には16.6%だった割合が、現在は21.3%となっている。また、特にジェンダー・バランス(男女比)を重視する企業の中では、ゼネラル・モーターズ(GM)が今年6月のジェーン・メンディーロの取締役就任により、取締役会の男女比50対50を実現した。
前向きに取り組む企業は増加傾向
平等を実現するには、トップレベルに男女比の割り当て制を導入するよりも、組織全体にわたって戦術的な活動を行うことの方が重要だ。
ブランディングやマーケティング、広告に関する情報を提供する「キャンペーン」誌は10月初め、HPが前月中に、CMOが業務を委託している広告代理店やPR会社合わせて5社に対し、1か月以内に多様性を向上させるための対策をまとめ、その計画に1年以内に着手するよう求める書簡を送ったと伝えた。8月には、食品メーカーの米ゼネラル・ミルズが同様の要請を行っている。その他の大企業がこうした動きに追随すれば、企業の「多様性と受容(ダイバーシティ&インクルージョン、D&I)」推進の取り組みに大きな弾みがつくことになる。