彼がCEOを務める米サンディエゴの製薬会社「サムメド」では、“若返り”を目的とした薬の開発を進めている。薄毛やシワ、関節炎といった症状を解消する可能性を秘めた抗加齢治療薬ー。こうした薬への期待から、同社は家具会社IKEA傘下の投資会社などから総計2億2,200万ドルを調達している。
バイオ企業や通信会社の起業・売却歴を持つカイバーは、大手製薬会社ファイザーの出資でサムメドの前身となる会社を立ち上げた。同社は「Wnt」と呼ばれる分泌性糖タンパク質に注目し、新薬「SM04554」を開発。300人を対象に行った治験では、偽薬を投与された治験者の毛髪が2.5%減ったのに対し、新薬を0.25%塗布された人は6.9%増えたという。
効果に対して懐疑的な毛髪再生の専門家もいるが、同社は新薬に自信を見せている。来年は、より大規模な治験を行う考えだ。
オスマン・カイバー◎抗加齢治療の製薬会社「サムメド」の共同創業者兼CEO。米カリフォルニア大学サンディエゴ校で博士号を取得したトルコ系アメリカ人。起業家からベンチャー投資家に転身した後、高名な抗がん剤の開発者らと一緒にサムメドを創業した。ちなみに、社名のサムは禅修行の“作務”に由来する。カイバーは、名うてのポーカープレイヤーでもある。