「個人的な問題」が仕事に及ぼす影響とその回避策

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筆者は先日、人を助ける職業の人々が強い心を持ち続ける方法について講演を行った。聴衆は、家庭を訪問して親たちに育児指導をする人々だった。彼らの努力が、児童虐待の予防や、新米パパ・ママが子どもとの結びつきを深めるのに役立っている。

薬物乱用や精神疾患など、さまざまな問題を抱える家族を相手にする彼らの仕事は、ただでさえストレスが多い。だがそこに個人的な問題が加わると、仕事は極めて困難になる。

講演の際に「いま自分が直面している個人的な問題」を紙に書いてもらった。すると「奨学金が返済できるか心配」というものや「母ががんを患っている」という悩みが寄せられた。ほかにも、子どもに重い障害があるという慢性的なストレス、家族が入院中で心配だという悩みを抱えている人もおり、多くの人は、同僚が私生活で問題を抱えていることに気付いていなかった。

誰にでも個人的な問題はある

現実には、誰でも常に、いくつか個人的な問題を抱えている。そして、大企業のCEOであれ自宅勤務の個人事業主であれ、それらの問題は何かにつけて仕事に影響を及ぼす。

仕事の妨げになる問題といっても、胸をえぐられるような悲劇とは限らない。休暇や結婚の予定のような嬉しい出来事も、私たちに影響を及ぼし得る。

仕事と私生活を完全に分けることは不可能だ。私たちは人間であり、ロボットではない。脳内で思考や感情、行動を完全に区分けすることはできないのだ。

どのような形で仕事に影響するのか

個人的な問題は、さまざまな形で仕事の妨げになり得る。請求への支払いができるか心配で生産性が落ちることがあるかもしれない。夜遅くまでパートナーとけんかをして疲れているために、仕事に集中できないこともあるだろう。

複数の研究により、生活の一つの分野で生じた感情が、ほかの分野にも持ち込まれることが示されている。私生活が仕事人生に及ぼし得る影響の例を、いくつか挙げてみる。

1. 興奮がより大きなリスクを取らせる:新しい家の購入を決めて感じている興奮が原因で、仕事で大きなリスクを容認してしまう可能性がある。興奮により、考えられるリスクを無視して利点だけに目を向けた行動を起こす可能性があるのだ。
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編集=森 美歩

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