10月上旬にも買い手が決定するのではと3日に報じられたことから、同社の株価は5日午前の取引で4%上昇した。だが、買い手の候補として名前が挙がっている企業、例えばセールスフォース・ドットコムの株価を見ると、市場が買収する企業としてのツイッターの魅力をどう捉えているか、よく分かると言えそうだ。
企業買収に関しては従来、買い手が示した買収価格に応じて、買われる側の企業の株価が上昇し、買い手側の株価は下落するのが通例だった。しかし、ここ数年は企業の成長機会が限られた状況が続き、売り手と買い手の株の値動きが逆転する傾向もみられていた。中には、双方の株価が同時に上昇するケースもあった。
ただし、ツイッターはそうした最近の傾向とは無縁のようだ。同社の取締役会が身売りを検討しており、すでに複数の企業から買収提案を受けていると報じられた9月23日以降、同社の株価は約32%値上がりしている。そしてその一方で、買い手の候補と伝えられた各社の株価は下落しているのだ。
新たにそうした企業の一つに加わったのが、マーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)率いるセールスフォースだ。米紙ウォールストリート・ジャーナルが同社によるツイッター買収の可能性を報じると、セールスフォース株は5日の取引で8%近く値下がりした。
9月26日にはウォルト・ディズニー株が、同じ理由で1%以上値を下げた。一部でツイッター身売り先の最有力候補と目されているグーグル親会社アルファベットの株価は、同月下旬以降、低迷を続けている。
ツイッターの身売り先候補とみられる企業の株主らにとっては、計算すべきことはツイッターに価値があるかどうかということよりも、どれだけの高値を提示すれば、同社のジャック・ドーシーCEOと取締役たちが負けを認め、独立企業としての存続を諦めるのかということにある。